OCRソフト(シェア上位)
OCRソフトとは?
更新:2024年10月30日
監修
ITコンサルタント
向井一真
OCRソフトとは、画像や紙の文書に書かれた文字を、デジタルテキストに変換する技術システムです。OCR(Optical Character Recognition:光学式文字認識)は、文字の特徴を分析・認識する仕組みを使って文字を読み取り、後から編集や検索ができるデータに変換します。 OCR技術を搭載したソフトは、さまざまな種類の書類からデータを取り出せるように作られています。一般的な文書だけでなく、請求書や領収書、名刺といった定型フォームからも必要な情報を抽出し、他のシステムで活用できます。そのため、作業時間の短縮や、データの確実なバックアップが可能になります。 また、AI(人工知能)技術の発展により、従来のOCRにAIの技術を組み合わせた「AI OCR」と呼ばれる製品も増えてきています。従来のOCRが決められたルールに基づいて文字を認識するのに対し、AI OCRは機械学習により多様な文字の形や表記の揺れを学習し、より正確に文字を認識できます。また、くずれた文字や手書き文字、複雑なレイアウトの文書でも高い精度で読み取ることができ、使い続けることで認識精度が向上していきます。
手作業による入力作業の課題
OCR技術を利用せず、人の手によりデータを転記する場合には以下の課題があります。
1
入力ミスが起きる
手作業での入力は、人為的なミスが発生しやすく、特に長時間の作業では集中力の低下により精度が落ちます。数値の打ち間違いや漢字の入力ミスは、後の業務処理に重大な影響を及ぼす可能性があります。
2
作業時間が増大する
大量の書類を処理する際は、1枚1枚目視で確認しながら入力する必要があり、膨大な時間を要します。特に急ぎの案件や処理量が多い繁忙期には、他の重要な業務に影響を与えることもあります。
3
コストが増加する
データ入力作業に多くの人員と時間を割く必要があるため、人件費が大きな負担となります。また、入力ミスのチェックや、修正作業のための追加の人員配置も必要となり、さらなるコストが発生します。
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OCRソフトの機能
上記の課題を解決するために、OCRソフトにはさまざまな機能が備わっています。ここでは、OCRソフトの基本機能と、特定のOCRソフトに付属している機能を整理して紹介します。
1
OCRソフトの基本機能
・文字の読み取りとデータ化 画像内の文字をデジタルテキストに変換し、編集可能な形式で出力する ・画像フォーマット対応 JPEGやPNGなど、多様な画像フォーマットから文字を認識する ・PDF変換 スキャンした紙データをPDFに変換する
2
特定のOCRソフトに付属している機能
・手書き認識 手書き文字を認識し、デジタルテキストに変換して保存する ・多言語対応 複数の言語をサポートし、さまざまな言語のテキストを正確に認識する ・バーコード・QRコード読み取り 画像内のバーコードから数列を読み取ったり、QRコードからURLを読み取ったりする ・画像補正 歪みや傾き、文字の背景色などを補正して読み取り精度を上げる
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OCRソフトの導入メリット
上記で紹介した機能を踏まえ、OCRソフトを導入することで得られる具体的なメリットを紹介します。
手作業によるエラーを削減できる
OCRソフトは、紙の書類や画像ファイルから文字を自動でデジタルデータに変換します。そのため、手作業でのデータ入力が不要となり、業務効率が大幅に向上します。手入力による誤りも減少するため、正確にデータを取得できます。また、デジタルデータは簡単に検索・編集ができ、業務全体の生産性向上にも貢献します。
書類を電子保管できる
OCRソフトの導入により、紙の書類を電子化して保管スペースを削減できます。オフィスのスペース効率が向上するため、書類管理のコストが低下します。また、クラウドストレージを活用することで、安全かつ効率的にデータを管理でき、紛失や劣化のリスクも軽減されます。
データを活用できる
OCR技術を用いてデータ化したデータは、データベースに保存して分析したり、他システムと連携して自動化プロセスを構築できたりします。それによって、迅速な意思決定が可能になります。例えば、過去の書類を簡単に検索することで情報を再利用し、新たなビジネスチャンスを発見できます。
OCRソフトを導入する際の注意点
OCRソフトの導入にはメリットがある一方で、しっかりと事前に確認しないといけない注意点もあります。
他システムのOCR機能を確認する
OCR専用ソフトの導入前に、既存の業務システムにOCR機能が備わっていないかを確認しましょう。経費精算システムや名刺管理ツール、請求書処理システムなど、多くの業務ツールには、すでにOCR機能が搭載されていることが多いため、OCR専用ソフトの必要性を慎重に検討することが重要です。
運用ルールを整備する
OCRソフトでの読み取りエラーや認識ミスが発生した場合の確認・修正の手順、また読み取り対象の文書の保管ルールなど、運用面での取り決めを明確にする必要があります。
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OCRソフトの料金相場
OCRソフトの料金は、機能と用途によって異なります。個人向けの簡易ソフトは、無料から数千円で利用可能です。企業向けの高度なソフトは、月額数千円から数万円のサブスクリプションが一般的で、カスタマイズが必要な場合は数十万円以上になることもあります。必要な機能と予算を考慮し、最適なOCRソフトを選びましょう。
OCRソフトの選び方
OCRソフトの選定は、業務効率化やコスト削減に大きく影響します。以下のポイントを考慮して、自社に最適なOCRソフトを選びましょう。
1
読み取り精度
OCRソフトは、読み取り精度が肝です。手書き文字や、チェックマーク・記号、バーコード・QRコードなど、自社が重要視する形態や対象を明確にし、しっかりと読み取れる製品を導入する必要があります。 ・手書き文字 手書き文字の認識は難易度が高いため、求める精度レベルを考慮することが重要です。特に日本語特有の崩し字や、個人の癖のある文字でも高精度な読み取りを求める場合は、AI OCRの導入を検討する必要があります。 ・チェックマーク・記号 アンケートや申し込み書、マークシートテストなどでのチェックマークや記号、塗りつぶしの認識が必要な場合は、正しく認識できる機能が必要です。 ・バーコード・QRコード 物流業務や販売業務では、商品の管理やトラッキングを効率的に行うために、バーコードやQRコードの正確な読み取りが不可欠です。 ・多言語 日本語以外の文字を読み取りたい場合は、多言語に対応しているかどうかもポイントになります。特に、国際業務を行う企業にとっては、多言語の文書をスムーズに処理できるかが重要です。 例えば、ディープラーニング技術を活用したソフトは、手書きや特殊フォントでも高精度な認識が可能です。導入前に、無料トライアルなどで読み取り精度を確認するとよいでしょう。
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対象書類
読み取る書類の種類によっても必要な機能が大きく異なります。定型書類の読み取りが主な場合は、テンプレート登録機能があるシンプルなOCRソフトで十分です。しかし、請求書や契約書など、レイアウトがさまざまな非定型書類を扱う場合は、AIを活用した高度な自動認識機能を持つOCRソフトが必要になります。また、免許証やパスポートなどの本人確認書類を扱う場合は、偽造防止や個人情報保護の観点から、高度なセキュリティ機能や、専用の読み取り機能を備えたOCRソフトの選択が重要になります。
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処理枚数
一度の処理想定枚数を基準に検討することが重要です。一度の処理枚数が数十枚程度であれば、スマホアプリやクラウドの無料プランでも十分対応できます。一方で、毎日大量の文書を処理する必要がある場合は、高速スキャナーとの連携や、一括処理機能を備えた本格的なOCRソフトの導入を検討する必要があります。
4
アップデートの頻度
サービスの継続的なアップデートやバージョンアップの頻度を確認することが重要です。特にAI OCRの場合は、読み取り精度の向上や、新しい文書フォーマットへの対応など、技術革新が頻繁に行われるため、定期的なアップデートが提供される製品を選ぶ必要があります。
5
他システムとのデータ連携
OCRソフトで読み取ったデータを業務で活用するためには、基幹システムや会計システムなど、他の業務システムとの連携が重要になります。データ連携の方法や、連携時のデータ形式の互換性を事前に十分に確認しましょう。
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OCRソフト選びに迷った場合は?
OCRソフトを導入することで、手作業によるヒューマンエラーを防げ、業務効率が大幅に向上します。ただし、製品によって備わっている機能やサービスの幅は異なります。ただ単に導入すればいいという話ではなく、導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。 もし、自社に最適な製品がわからない場合や、OCRソフト選びに迷った場合は、「FitGap」をご利用ください。FitGapは、自社にぴったりの製品を選ぶための無料診断サービスです。簡単な質問に答えていくだけで、自社に必要なシステム要件が整理でき、各製品の料金や強み、注意点、市場シェアなどを知ることができます。 自社に最適なOCRソフトを選ぶために、ぜひFitGapをご利用ください。