給与計算ソフト(シェア上位)
給与計算ソフトとは?
更新:2024年10月03日
監修
ITコンサルタント
堀口健二
給与計算ソフトは、従業員の給与を正確かつ効率的に計算・管理できるツールです。毎月の基本給や残業代、各種手当といった支給額の計算から、所得税や社会保険料、雇用保険料、住民税などの控除、さらには賞与計算や年末調整までを効率化し、給与計算業務の負担を大幅に軽減できます。 正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトといった多様な雇用形態にも柔軟に対応し、幅広いニーズに応えられるよう設計されています。また、マイナンバー制度への対応や法令の改正などに合わせてアップデートが行われるため、最新の法令に遵守して業務を行えます。
給与計算業務の課題
企業の給与計算業務では、勤怠・人事情報の入力・連携や、控除・支給額の計算、計算ミスの発生といった課題が多く挙げられています。ここでは、給与計算業務において、多くの企業・組織が抱える課題を詳しく紹介します。
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勤務時間に応じた給与計算
残業時間や休日出勤、深夜勤務など、さまざまな勤務形態に応じた給与計算は非常に複雑です。手作業での計算は人的ミスのリスクが高く、修正作業にも時間がかかります。また、従業員ごとに異なる勤務条件や手当の計算も煩雑な作業となります。変則的な勤務体系や働き方に応じて、参照する勤怠期間が異なる場合もあります。
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法改正への対応
労働法制や社会保険制度は頻繁に改正されるため、最新の法令に合わせた計算方法の修正や確認が常に必要です。特に年度替わりの時期は、制度変更への対応に多大な時間と労力が必要となります。
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手当や賞与の計算
手当の計算は、企業ごとに異なる要件があり、複雑な場合は手作業で行わなければならないシーンもあります。
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遡及・日割計算への対応
過去の給与に訂正があった際や、報酬のベースアップがあった際には、支給済みの給与を再計算し、差額を支給することがあります。残業代や欠勤控除など、複数の項目に影響がある場合があり、煩雑になりがちです。また、日割りの計算方法は企業によって異なります。日割が発生する対象を正確に把握して日割日数を出し、適切に支給しなければなりません。
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給与計算ソフトの機能
給与計算ソフトは、必要な情報を入力すると、税金や社会保険料、労働時間などを考慮して、給与額を自動で算出する機能が備わっています。特定の製品に付随している機能もあるため、どのような機能があるかを確認しましょう。
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給与計算ソフトの基本機能
・給与と手当の計算 基本給などの固定的な賃金や、労働時間や勤務日数に基づいた変動的な手当を自動で計算する ・所得税控除 給与から所得税を控除する ・社会保険料控除 健康保険や厚生年金などの社会保険料を自動計算し、給与から控除する ・勤怠データ連携 勤怠データを受け取り、残業手当などを算出する ・賞与計算 特定の時期に支給される賞与を自動で計算し、総額に反映させる ・給与・賞与明細作成 従業員ごとの給与明細や賞与明細を自動生成し、配布可能な形式で出力する
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特定の給与計算ソフトに付属している機能
・人事データ連携 人事ソフトと連携し、従業員情報をリアルタイムで更新する ・年末調整 年末調整に関する計算と必要な書類の作成をサポートする ・社会保険業務 社会保険の手続きに関する計算や書類作成をサポートする ・モバイルアクセス 従業員がスマートフォンやタブレットから、自分の給与明細や賞与明細を閲覧できる
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給与計算ソフトの導入メリット
給与計算ソフトを導入すると、多くの企業が直面する給与計算の複雑さを解消し、効率的かつ正確な給与管理を行えます。ここでは、給与計算ソフトを導入する具体的なメリットを紹介します。
給与計算を効率化できる
給与計算ソフトの自動計算により、法定控除や税金を正確に短時間で処理できます。手作業やExcelでの管理によるミスを減らし、給与計算の効率化につながります。
法令を遵守できる
法改正への対応に伴う作業負担やコストを大幅に削減できます。ベンダーが法改正に合わせて定期的なアップデートを行うため、企業が個別に改修作業を行う必要がなくなります。また、最新の法令に準拠した計算ロジックが常に維持されることで、コンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
セキュリティが強化される
給与計算ソフトは、従業員の給与データを一元管理し、情報の重複や矛盾を防ぎます。Excelなどを用いてデータ管理を行う場合と比べ、アクセス権限を人事部門の特定社員のみに制限できるため、データの改ざんや不正アクセスのリスクを低減できます。 また、ファイルの暗号化や操作ログの記録など、最新のセキュリティ技術によってデータ漏洩を防ぎ、企業の機密情報を保護します。安全かつ正確な給与管理体制を構築できるでしょう。
給与計算ソフトを導入する際の注意点
給与計算ソフトの導入にはさまざまなメリットがある一方で、気をつければならないポイントもあります。しっかりと注意点も確認しておきましょう。
目的と要件を明確にする
給与計算ソフトを導入する際は、自社のニーズや目的に合った機能を持っているかを確認することが重要です。給与計算だけでなく、勤怠管理や人事データ管理などの機能が必要かを明確にし、最適な製品を導入しましょう。 また、既存で利用しているシステムと重複する機能がないかも確認し、無駄なコストを防ぎます。過剰な機能を持つ高価なソフトを避けるという観点も大切です。
費用対効果を考える
給与計算ソフトの導入にあたっては、初期費用だけでなく、運用コストやサポート費用も含めたトータルコストを考える必要があります。その際は、導入による業務効率化や人件費の削減効果も考慮することで、費用対効果が明確になります。
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給与計算ソフトの料金相場
給与計算ソフトの料金相場は企業規模や機能で異なります。小規模企業向けの基本プランは月額数千円、中規模以上では1万?数万円が一般的です。SaaS型の製品は初期費用を抑えられ、アップデートも自動で行われます。
給与計算ソフトの選び方
給与計算ソフトを選ぶ際は、機能とコストのバランスを考慮することが重要です。ここでは、給与計算ソフトの選び方のポイントとなる観点を詳しく説明します。
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企業規模
企業の規模によって、必要な機能やサポートが異なります。小規模企業では、シンプルで使いやすいソフトが求められることが多いです。一方で、大企業では、複雑な給与体系に対応できる多機能なソフトが必要です。自社の規模に合ったソフトを選ぶことが重要です。
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業種
業種によっては、特定の手当や控除の設定が必要になることがあります。製造業やサービス業など、それぞれの業種に応じた給与計算機能が備わっている製品を選ぶことで、業務がスムーズに進みます。
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給与明細の電子化
給与明細を電子化することで、ペーパーレス化が進み、コスト削減や業務効率の向上が期待できます。電子メールや個人専用のマイページでの明細公開に対応している製品を選ぶとよいでしょう。
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給与形態
月給や時給、日給、年俸など、従業員の給与形態はさまざまです。さまざまな給与形態に柔軟に対応できる製品を選ぶことで、給与計算の複雑さを軽減できます。 また、基本給の昇給額の計算や、賞与支給額の計算、遡及計算を自動化したい場合は、対応可能なソフトが限られます。このような機能が必要な際は、あらかじめ各ソフトの自動計算機能を詳しく確認しておきましょう。
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企業独自の福利厚生
社会保険や税といった法定控除だけでなく、企業ごとに異なる協定控除(住宅手当や通勤手当など)に対応できる機能が必要です。カスタム項目を自由に設定できるソフトを選ぶと、企業ごとの独自の控除項目にも対応できます。
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電子申告
前々年の提出すべき源泉徴収票、または給与支払報告書が100枚以上の場合、電子申告が義務付けられています。そのため、e-TaxやeLTAXなどの電子申告に対応しているかどうかも確認しておきましょう。 ・e-Tax対応 源泉徴収票の電子申告用ファイルを出力できる ・eLTAX対応 給与支払報告書の電子申告用ファイルを出力できる
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社会保険関連の電子手続き
e-Gov対応の給与計算ソフトは、社会保険関連の書類を電子申請用に出力できます。特に、資本金が1億円を超える企業では、電子申請が義務付けられるため、対応したソフトを選ぶことが必要です。
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マイナンバーの管理
従業員のマイナンバーを安全に管理できる機能を備えた製品を選びましょう。マイナンバーは、給与計算に関連する申告書類に必要なので、安全で簡便な収集・登録が可能なソフトが理想です。
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サポート体制
給与計算ソフトを使用している際の疑問や問題を迅速に解決するために、電話やメール、チャットなどの多様なサポート手段を提供しているソフトを選ぶと安心です。特に初めて導入する場合は、導入時のサポート体制も確認しておくとよいでしょう。
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セキュリティ
給与データには個人情報が含まれるため、セキュリティ対策が重要です。データの暗号化やアクセス制御、バックアップ体制が整備されているかを確認しましょう。クラウドベースの製品では、データの保管場所や運営会社のセキュリティポリシーの確認も必要です。
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海外・法令対応
海外に法人を構える場合は、給与計算ソフトが現地の法令に対応しているか、法令が更新された際に迅速に対応できるアップデート体制が整っているかを確認しましょう。法令遵守は企業にとって必須事項です。ソフトの適切なアップデートは、法令に基づいた正確な給与計算を支えます。
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スケーラビリティ
企業の成長に伴う、従業員数の増加に対応できるスケーラブルな設計かどうかも確認が必要です。機能やサポート範囲を柔軟に拡張できるか、追加費用が発生するかなどを確認することで、長期にわたって安心して運用できます。
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各種周辺システムとの連携
勤怠管理システムや人事システムなど、周辺システムとの連携が可能かどうかも重要な選定基準です。システム間の連携により、データの一元管理や業務プロセスの効率化が図れます。場合によっては、製品間の相性により自動連携が取れないことがあるため、各システムとの相性を確認することが重要です。
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給与計算ソフト選びに迷った場合は?
給与計算ソフトを導入することで、法令を遵守しながら、給与計算を効率化できます。また、セキュリティも強化されるため、安心かつ正確な給与管理を行えます。 ただし、製品によって備わっている機能やサービスの幅は異なります。ただ単に導入すればいいという話ではなく、導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。 もし、自社に最適な製品がわからない場合や、給与計算ソフト選びに迷った場合は、「FitGap」をご利用ください。 FitGapは、自社にぴったりの製品を選ぶための無料診断サービスです。簡単な質問に答えていくだけで、自社に必要なシステム要件が整理でき、各製品の料金や強み、注意点、市場シェアなどを知ることができます。 自社に最適な給与計算ソフトを選ぶためにぜひご利用ください。
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