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タレントマネジメントとは?

更新:2024年05月01日

監修

ITコンサルタント

堀口健二

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキル、能力、業務経験といった人材データを一元管理し、これを基に人材の評価・開発、適切な配置・育成、職場の風土分析に利用します。タレントマネジメントは、人事管理を進化させた人材活用の観点から生まれた概念に基づいています。特に2023年3月決算以降、上場企業には人的資本情報の公開が義務付けられたことから、その指標を管理するタレントマネジメントシステムは、今後広く普及されることが期待されます。

pros

導入メリット

人材データの可視化

人材データのリストアップ、取得、分析には膨大な工数がかかりますが、タレントマネジメントシステムを導入することでこれらの工数を大幅に削減し、人材データを可視化することができます。

適材適所の配置

個々の能力やスキルが可視化されることで、適材適所の配置を行うことができます。個人はもちろん、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

採用基準の明確化

タレントマネジメントシステムにより、パフォーマンス高い社員や離職率の高い社員の能力や特性の傾向を分析できます。これにより採用基準の明確化やミスマッチ防止に貢献します。

職場の風土形成

タレントマネジメントシステムの中には、組織に関するアンケート(組織サーベイ)を実施し組織に関する状況を把握できる製品があります。他にも、従業員同士で感謝や称賛を伝えるピアボーナスの機能を備える製品もあります。組織の状況を把握し、組織のエンゲージメント向上させることで、職場風土の形成に役立ちます。

cons

導入注意点

活用目的に合った製品の選定

タレントマネジメントシステムの機能要件は運営会社によって、大きく異なります。選定の際には、目的と目的に沿ったデータのリストアップを行った上で、選定すべきです。

データの活用

人材データを可視化して、データからの有用な示唆を得ることができても、具体的な改善施策に落とす事が課題になるケースがあります。有用な示唆が得られても、改善策に繋がらないと意味がないため、注意が必要です。前例や担当者にタレントマネジメントの実務経験がない場合には、コンサルティングサービスを提供している製品を検討したり、実務経験者の採用なども念頭におきましょう。

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タレントマネジメントの選び方

タレントマネジメントを選ぶにあたり、以下のポイントを確認することで、自社に合ったものを選べます。

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タレントマネジメントシステムのタイプから選ぶ

タレントマネジメントシステムは、スキル管理などの人材育成管理にフォーカスしたタイプと人に紐づく手続きなどにフォーカスしたタイプがあります。

人材育成管理にフォーカスしたタイプは、以下の機能をもっています。人材育成管理にフォーカスしたタイプをこれらの機能を複数持っている総合型の製品と、いずれかの機能に特化した特化型の製品があります。従業員が持つ能力、スキルなどを人事管理の一部として一元管理することで、これまで主観や慣習で決められていた人事配置や人材開発をデータや共通項などに基づいて戦略的に行うことを目的としています。

・人事評価

・目標管理

・アンケートを用いた個人や組織の課題把握(組織サーベイ)

・社内1on1管理

・オンボーディング

人に紐づく手続きにフォーカスしたタイプは、以下の機能をもっています。人に紐づく手続きにフォーカスしたタイプは、人事管理システムといわれることもあります。人材育成管理にフォーカスしたタイプに比べると法律に沿った手続きを円滑にする製品が多いです。SmartHRは、このタイプの製品からスタートしましたが、人材育成にフォーカスしたタイプの機能が追加されて、どちらのタイプとしても使える製品です。

・雇用契約の手続き

・異動、出向、退職などの手続き

・個人情報や身上情報の管理

・従業員の発令管理

また、以下の機能は、人材育成からの観点でも人に紐づく手続きからの観点でも必要な機能のため、どちらのタイプももっている機能です。

・スキル管理

・組織図の作成

・人材情報のデータベース

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自社の評価制度、目標管理制度で選ぶ

タレントマネジメントシステムの中には、評価管理、目標管理機能を備えた製品があり、対応する評価制度が異なります。自社の評価制度に応じて選ぶべき製品が異なります。

・360度評価

上司、部下、同僚など複数名で1人を多角的に評価する制度です。客観的な評価が可能になり、評価者の独断や好みで決まる、評価者ごとに昇給難易度にばらつきがあるなどの問題を解決します。

・コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、人材の行動特性のことです。職種、役割ごとに設定したコンピテンシーに基づいて評価します。評価基準が具体的であるため、公平性を担保しやすくなります。組織ごとに成果をあげるコンピテンシーが異なるため、自社に合ったコンピテンシーの把握は採用活動にも活かすことができます。

・OKR(Objectives and Key Results)

企業全体の方針に沿って「目標」と「成果」を設定する目標管理制度です。企業全体の「目標」と「成果」にリンクさせて、チームのOKR、個人のOKRを設定します。組織や社員のモチベーションを高めることが目的です。チャレンジングな目標を設定し60〜70%程度の達成を目指します。

・MBO(Management by Objectives)

社員自らが個人目標を決める目標管理制度です。社員一人ひとりの組織への貢献度を測ることが目的です。具体的な目標を設定し、100%の達成を目指します。

・KPI

事業目標を達成するためのアプローチ方法を「中間目標」として設定する目標管理制度です。「飲食店の売上アップ」が事業目標だとすると、「リピータを2倍にする」「客単価を5倍にする」などが「KPI」となります。KPIは具体的で定量的なものであるため、目標達成のための過程が明確になります。

・上記以外の独自の評価制度

独自の制度の場合、評価方法を独自で設定できる製品があります。中でも評価項目の設定の自由度が異なるため、それらも合わせて確認しましょう。

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アンケート機能で選ぶ

タレントマネジメントの中には、アンケート機能を備えている製品があります。また、アンケート機能も以下に大別されます。

・従業員のモチベーション、エンゲージメント

個人のフォローアップを目的としたアンケート機能です。数分で終わる簡単なアンケートを短いスパンで繰り返し行うことで、従業員のモチベーションの変化、感情の変化などを定点把握できます。

・組織の課題把握(組織サーベイ)

組織の課題と職場環境の分析を目的としたアンケート機能です。数十分程度かかる多岐にわたる質問を、半年から一年に一度のスパンで行うことで、組織全体の課題や職場環境などを把握、分析できます。

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コンサルティングサポートのある製品を選ぶ

タレントマネジメントシステムは、運用サポートの有無とその手厚さも重要な選定ポイントです。人材データは、1つの課題や目的に対して複数の解決アプローチが考えられるため、活用の難易度が高いです。例えば、従業員のモチベーションが課題の場合、解決策は、評価制度の見直し、組織サーベイによるモチベーション低下の原因特定、サンクスカードなどで人間関係の改善などいくつも挙げられます。また、これらの中から有効な施策を選ぶには、専門的な知識や経験が必要です。自社に専門的な知識や経験を持つ人材がいない場合は、運営会社がコンサルティングサポートを提供しているサービスを選ぶことをおすすめします。

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監修者プロフィール

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堀口健二

ITコンサルタント

株式会社CanalSquareにてITコンサルタントとして従事。大手企業向けERPベンダー会社にて約10年、 HCM・AC・SCM システムの導入・運用保守を経験後、コンサルティング部門統括として組織運営。その後、HR BPO事業関係会社にて、経営企画・営業執行役員として2年間従事し、本社帰任。製品開発部門責任者 として、新規製品の企画開発に従事。