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2026-02-13

プレスリリース配信後の問い合わせ対応を一元管理し回答のブレと対応漏れを防ぐ方法

プレスリリースを配信した直後は、メディア記者や顧客、取引先からさまざまな問い合わせが集中します。ところが多くの企業では、リリースの配信管理、問い合わせの受付と対応履歴、社内への情報共有がそれぞれ別々の仕組みで動いているため、誰がどの質問にどう答えたかを追跡できません。その結果、同じ質問に対して担当者ごとに異なる回答をしてしまい、メディアへの対応品質が低下し、誤情報の拡散や企業イメージの悪化を招くリスクがあります。

この記事は、従業員50〜300名規模の企業で、広報業務を兼務している経営企画や総務の担当者、あるいは少人数の広報チームを想定しています。読み終えると、プレスリリースの配信から問い合わせ対応までを一気通貫で管理し、回答内容を社内で即座に共有できるワークフローを自社に導入できるようになります。大規模エンタープライズ向けの全社PR戦略設計や、個別ツールの網羅的なレビューは扱いません。

なお、本記事で紹介するツールの組み合わせは代表的な一例です。同じ役割を果たす別の製品でも、同様のワークフローを構築できます。

読み終えた時点で、リリースごとに問い合わせと回答履歴が紐づいた状態で蓄積され、次のリリース時にはQ&Aテンプレートとして再利用できる仕組みが手に入ります。

Workflow at a glance: プレスリリース配信後の問い合わせ対応を一元管理し回答のブレと対応漏れを防ぐ方法

なぜプレスリリース配信後の問い合わせ対応が破綻するのか

配信と問い合わせが別世界に存在する

多くの企業では、プレスリリースの配信にはPR TIMESのような配信サービスを使い、問い合わせの受付にはメールや電話を使い、社内共有にはチャットやファイルサーバーを使っています。この3つがまったく連携していないため、あるリリースに対してどんな問い合わせが来ているのかを俯瞰できる場所がありません。

回答が属人化し、ブレが生まれる

問い合わせに対する回答が個人のメールボックスの中だけで完結していると、別の担当者が同じ質問を受けたときに過去の回答を参照できません。結果として、数字の端数処理が違う、発売時期の表現が微妙に異なるといった回答のブレが発生します。メディアが複数の担当者に取材した場合、この食い違いが記事に反映されてしまうリスクがあります。

対応漏れが見えない

問い合わせの受付窓口が分散していると、そもそも対応が完了したのか、まだ返信していないのかを誰も把握できません。リリース直後の繁忙期に1件でも対応漏れがあると、記者の締め切りに間に合わず、不正確な推測で記事が書かれてしまうことがあります。

重要な考え方:1つのリリースに対するすべての対外コミュニケーションを1か所に集約する

問い合わせ対応の品質を上げるために最も効果的なのは、リリースごとにすべての問い合わせと回答を紐づけて1か所に集約することです。個々のツールを高機能にすることよりも、情報の流れを1本の線でつなぐことが重要です。

公式回答を先に作り、後から個別対応する

リリース配信前に想定Q&Aを用意し、それを公式回答として社内に共有しておくことで、問い合わせが来た時点で担当者が迷わず回答できます。想定外の質問が来た場合だけ、広報責任者が回答を作成し、その内容を即座にQ&Aに追記します。この順序を守ることで、回答のブレを構造的に防げます。

対応ステータスを可視化する

問い合わせを受け付けた時点で未対応としてチケット化し、回答を送った時点で対応済みに変更する。この単純なステータス管理だけで、対応漏れは劇的に減ります。高度な自動化よりも、まずはステータスが見える状態を作ることが先決です。

リリース配信から問い合わせ完了までの実践ワークフロー

ステップ 1:リリース配信と想定Q&Aの同時公開(PR TIMES)

PR TIMESでプレスリリースを配信する際に、社内向けの想定Q&Aを同時に準備します。Q&Aは後述するNotionに掲載しますが、リリースの配信タイミングと同時にQ&Aページを社内公開することがポイントです。PR TIMESの配信完了後、配信URLをNotionのQ&Aページに貼り付け、どのリリースに対するQ&Aなのかを明確に紐づけます。

担当者は広報担当者です。配信日の前日までにQ&Aのドラフトを作成し、広報責任者の確認を経て、配信当日の朝にリリースとQ&Aを同時に公開します。想定Q&Aには、数字の根拠、発売時期、価格、競合との違いなど、過去のリリースで実際に聞かれた質問を最低5項目は含めてください。

ステップ 2:問い合わせの受付とチケット化(Zendesk)

メディアや顧客からの問い合わせをZendeskで一元的に受け付けます。メールでの問い合わせはZendeskの受信メールアドレスに転送設定し、電話での問い合わせは対応者がZendesk上に手動でチケットを作成します。

チケット作成時に、どのリリースに関する問い合わせかをタグで紐づけます。たとえばリリースのタイトルを短縮したタグ(例:release-新製品A-202501)を付与します。これにより、1つのリリースに対する問い合わせの全体像をタグで絞り込んで確認できます。

チケットのステータスは未対応、対応中、対応済みの3段階で管理します。問い合わせを受けた担当者がまずNotionのQ&Aを確認し、該当する回答があればそのまま使って返信し、チケットを対応済みにします。Q&Aに該当がない場合は、チケットを対応中にして広報責任者にエスカレーションします。

この受付と振り分けは、問い合わせが入り次第リアルタイムで行います。リリース直後の3営業日は特に集中するため、Zendeskのビューを開いたまま作業することをおすすめします。

ステップ 3:回答の確定とQ&Aの更新(Notion)

広報責任者がエスカレーションされた質問に対して回答を作成し、Notionの該当リリースのQ&Aページに追記します。追記した回答はZendesk上のチケットにも転記し、問い合わせ元に返信します。

Notionでは、リリースごとにQ&Aページを1ページ作成し、データベース形式で質問、公式回答、回答確定日、回答者を記録します。このページのURLをZendeskのチケットの社内メモ欄に貼ることで、チケットからQ&Aへ、Q&Aからチケットへと双方向に参照できる状態を作ります。

週次で広報担当者がZendeskのチケット一覧とNotionのQ&Aページを突き合わせ、未反映の回答がないか、対応漏れのチケットがないかを確認します。この突き合わせ作業は30分程度で完了します。リリースから2週間が経過し、新規の問い合わせがなくなった時点で、そのリリースのQ&Aページをクローズし、次回の類似リリース時のテンプレートとしてアーカイブします。

この組み合わせが機能する理由

PR TIMES:配信と問い合わせの起点を明確にする

PR TIMESは日本国内で最も利用されているプレスリリース配信サービスであり、メディアリストへの一斉配信とWeb上での公開を同時に行えます。配信履歴がサービス上に残るため、いつ、どの内容を配信したかの記録が自動的に確保されます。一方で、PR TIMES自体には問い合わせ管理の機能はありません。配信後の対応は別のツールで受け取る必要があるため、このワークフローではZendeskと組み合わせています。無料プランはないため、配信頻度が月1回未満の企業ではコスト対効果を慎重に検討してください。

Zendesk:問い合わせの受付とステータス管理を確実にする

Zendeskはカスタマーサポート向けのチケット管理ツールですが、メディアからの問い合わせ管理にも十分に使えます。メールの自動取り込み、チケットのタグ付け、ステータス管理、対応者のアサインといった基本機能が揃っており、問い合わせの対応漏れを防ぐ仕組みが標準で備わっています。ただし、Zendeskは多機能であるがゆえに、初期設定でカスタムフィールドやワークフローを作り込みすぎると運用が複雑になります。最初はタグとステータスだけのシンプルな運用から始め、必要に応じて拡張することをおすすめします。また、1エージェントあたりの月額課金のため、対応者が増えるとコストが上がる点は事前に把握しておいてください。

Notion:公式回答の蓄積と社内共有を1か所で完結させる

Notionはドキュメントとデータベースの両方の性質を持つツールで、Q&Aの蓄積と社内共有に適しています。リリースごとにページを作成し、データベースビューで質問と回答を一覧表示できるため、過去のリリースで何を聞かれ、どう答えたかを瞬時に検索できます。ページのURLを共有するだけで社内の誰でもアクセスできるため、チャットでQ&Aを流す場合と違って情報が埋もれません。弱点としては、Notionの検索精度が完璧ではないため、Q&Aの件数が数百件を超えると目的の回答を見つけにくくなることがあります。タグやカテゴリでの整理を初期段階から意識してください。

Recommended tool list

ToolRolePricingImplementation timeNotes
PR TIMESプレスリリースの配信とメディアへの一斉公開月額課金1〜2日アカウント作成後すぐに配信可能。メディアリストの整備に時間をかけると効果が上がる。
Zendesk問い合わせの一元受付、チケット管理、対応ステータスの可視化月額課金3〜5日メール転送設定とタグルールの初期設定が必要。最初はカスタムフィールドを増やしすぎず、タグとステータスだけで運用を開始する。
Notionリリースごとの公式Q&A蓄積と社内共有無料枠あり1〜2日Q&Aテンプレートページを1つ作成し、リリースごとに複製して運用する。データベースプロパティは質問、公式回答、回答確定日、回答者の4項目で十分。

結論:リリースごとにQ&Aを紐づけて蓄積すれば回答のブレと対応漏れは防げる

プレスリリース配信後の問い合わせ対応が破綻する根本原因は、配信、問い合わせ受付、回答共有がバラバラに管理されていることです。PR TIMESで配信し、Zendeskで問い合わせをチケット化し、Notionで公式回答を蓄積するという3つのツールをリリース単位で紐づけるだけで、回答のブレと対応漏れを構造的に防げます。

まずは次回のプレスリリースで、配信前に想定Q&Aを5項目だけ作成し、Notionに掲載するところから始めてください。問い合わせが来たらZendeskにチケットを1件作成し、Q&Aを参照して回答する。この小さなサイクルを1回転させるだけで、従来の対応との違いを実感できます。

Mentioned apps: Zendesk, Notion

Related categories: カスタマーサポートツール, ナレッジマネジメントツール

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