訪問営業を主体とする企業では、顧客先で即座に見積書や請求書を作成する必要があります。従来は会社に戻ってからパソコンで作業していましたが、タブレットがあれば商談の場で書類を完成させられます。不動産会社では物件案内後に契約条件を反映した見積書を作成し、その場で顧客に提示することで成約率向上につながります。

本社以外に支店や営業所を構える企業では、各拠点での請求書管理が課題となります。タブレットを活用すれば各拠点の管理者が移動中や自宅でも請求状況を確認できます。建設会社では現場監督が工事進捗に応じて請求書を作成し、本社の経理部門とリアルタイムで情報共有することが可能です。

インターネット経由でサーバー上のシステムを利用するタイプです。タブレットに専用ソフトをインストールする必要がなく、Web画面からすぐに利用開始できます。データはクラウド上に保存されるため、複数のデバイスから同じ情報にアクセスできる特徴があります。さらに、システムの更新やメンテナンスは提供会社が行うため、利用企業での管理負担が少ない利点もあります。

タブレットにダウンロードして使用する専用アプリケーションです。オフライン環境でも基本的な機能を利用でき、インターネット接続が不安定な場所での作業に適しています。タッチ操作に特化したデザイン（画面構成）により、指での直感的な操作が可能です。加えて、カメラ機能と連携して領収書の読み取りや署名の取得なども行えます。

生成AIによる高度な自然言語処理のおかげで、請求書管理ツールにチャットボット形式のAIアシスタントが組み込まれる例が増えています。例えばQuickBooksの「Intuit Assist」では、会話文や書類から自動的に請求書や経費精算書を作成したり、期限超過の請求書に対する個別の督促メッセージを自動生成することが可能です。スマートフォンやタブレットで手書きメモを撮影すれば、その情報から請求書のドラフトを起こすといった柔軟な使い方も実現しており、複雑なメニュー操作なしに直感的に請求業務をこなせるようになりました。日本でも、AIエージェントに話しかけるだけで経理処理が進むサービスが登場しており、従業員がソフトの使い方を覚えなくても済むという新しいユーザー体験を提供しています。

AIエージェント（人間のように目的を理解し自律的に動くAI）を活用すれば、請求書処理をほぼ自動化できます。複数のAIエージェントが協調し、請求書の受領からデータ抽出、発注書との照合、不備時の問い合わせや督促メール送信まで、人手を介さず完結可能です。ルールベースのRPAとは異なり、状況に応じて判断するため例外処理も自動対応でき、処理の停滞が減り迅速化します。近い将来には、請求・支払いに関わる定型業務の8割以上がこうした自律型AIに任せられると予測されています。

生成AIとエージェント技術の進化により、請求管理ツールは今後さらに高度化すると見られています。たとえばMicrosoftはERPシステムに財務分野の自律エージェントを導入予定であり、経理業務のさらなる効率化が期待できます。また、米Intuit社（QuickBooksの開発元）のCEOは、将来的にAIエージェントが中規模企業のCFO（最高財務責任者）の役割すら代替し得ると述べています。それほどまでにAIが高度な分析や意思決定を担えるようになれば、経理担当者の役割もこれまでの「入力作業」から戦略的な判断やAIの監督へと再定義されていくでしょう。人はAIには難しい最終的な意思決定や創造的な問題解決に注力し、AIが日常業務を肩代わりする形で、バックオフィス業務全体の生産性が飛躍的に向上すると期待されます。