時短勤務の給与計算方法を徹底解説!基本ルールや運用ポイントを整理
働き方の多様化が進む現代において、育児や介護、健康上の理由から時短勤務を選択する従業員が増加しています。時短勤務は、従業員にとってワークライフバランスを実現する重要な制度ですが、企業の給与計算担当者にとっては複雑な処理が求められる業務でもあります。
通常の勤務形態と異なり、時短勤務では勤務時間に応じた按分計算や、残業代・社会保険の取り扱いに特別な配慮が必要です。また、育児・介護休業法などの法令に基づく制度のため、計算ミスは法的トラブルにつながるリスクもあります。
この記事では、時短勤務の給与の計算方法や基本的なルールを解説します。また、ケーススタディや実務上の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
時短勤務とは?
時短勤務とは、労働者が通常の所定労働時間よりも短い時間で勤務する制度です。
育児・介護休業法などに基づき、要件を満たす従業員から申請があった場合、企業は必ず対応しなければなりません。また、企業の働きやすさを向上させる取り組みとして、法定制度に基づかない会社独自の時短勤務制度も多くの企業で導入されています。
企業としては、勤務時間や給与体系が多様化する中で、従来の一律的な処理では対応できない場面が増え、個別対応や特別な計算が必要になります。そのため、時短勤務制度と給与計算の仕組みをセットで理解し、適切な運用体制を構築することが重要です。
時短勤務の主な対象者
時短勤務制度の対象者は、法定制度と企業独自制度によって異なりますが、一般的には以下のような従業員が該当します。
| 対象者 | 概要 |
|---|---|
| 育児中の従業員 | 原則として3歳未満の子どもを養育する従業員 |
| 介護を必要とする家族を持つ従業員 | 要介護状態にある家族を支援する従業員 |
| 通院や持病を抱える従業員 | 健康上の理由からフルタイム勤務が困難なケース |
| 高齢者や定年後再雇用者 | 勤務時間に配慮した制度として時短勤務を適用することがある |
| 育成中の若手社員や業務習熟者 | フルタイム移行までの準備期間として、時短制度を活用することがある |
育児中の従業員
時短勤務で最も一般的なのが育児中の従業員です。原則として3歳未満の子どもを養育する従業員が対象となります。育児・介護休業法では、1日の所定労働時間を6時間とする措置を講じることが企業に義務づけられています。
ただし、日々雇用される者や雇用期間が1年に満たない者など、一定の除外要件に該当する場合は対象外となることもあります。
介護を必要とする家族を持つ従業員
介護を必要とする家族を持つ従業員は、要介護状態にある家族を支援するために時短勤務を希望するケースがあります。介護に関する時短勤務は、育児・介護休業法に基づく制度として、連続する3年の期間内で利用できます。
通院や持病を抱える従業員
健康上の理由からフルタイム勤務が困難な従業員も時短勤務の対象となることがあります。通院や持病を抱える従業員に対して、治療と仕事の両立を支援する目的で時短制度を適用するケースが増えています。
高齢者や定年後再雇用者
高齢者や定年後再雇用者に対しても、体力的な配慮や段階的な業務調整として時短勤務を導入する企業も見られます。
育成中の若手社員や業務習熟者
企業の人材育成戦略の一環として、育成中の若手社員や業務習熟期間中の従業員に対して、フルタイム移行までの準備期間として時短制度を活用する企業もあります。
時短勤務の給与計算方法と基本ルール
【通常勤務】
- 月給制で支給
- 所定労働時間は固定
- 社会保険なども固定前提
- 時間外労働の計算が明確
【時短勤務】
- 労働時間に応じて支給割合が変動
- 所定労働時間が短く設定される
- 保険料の計算にも時間換算が影響
- 時間外の境界が不明確になりやすい
時短勤務者の給与計算は、通常勤務とは異なる勤務時間に基づくため、給与計算のルールも大きく異なります。また、基本給以外の各種手当の取り扱いは、個別に検討が必要なケースもあります。ここでは、時短勤務の給与計算方法と基本的なルールを紹介します。
給与体系ごとの計算方法(月給制・時給制)
時短勤務における給与の計算方法は、給与体系(月給制・時給制)によって大きく異なるため、それぞれの特徴と計算方法を正確に理解することが重要です。
| 項目 | 月給制 | 時給制 |
|---|---|---|
| 給与 | 月給 ×(実働時間 ÷ 所定労働時間) | 時給 × 実働時間 |
| 残業代 | 1時間単価 × 割増率(所定超え) | 同上 |
| 社会保険・雇用保険 | 基本的に加入対象(等級注意) | 労働条件により加入判断が必要 |
| 有給休暇 | 年次付与・時間取得可能 | 出勤日数・勤務時間に応じて比例 |
| 欠勤控除 | 1時間単価 × 欠勤時間 | 欠勤分が発生しにくい(働いた分支給) |
月給制
月給制では、基本給を所定労働時間で按分計算することが一般的です。
例)月給30万円で所定労働時間が週40時間(月160時間)の従業員が、週30時間(月120時間)の時短勤務になった場合
30万円×(120時間÷160時間)=22.5万円
また、時間単価を求めてから実働時間をかける方法もあり、同様の結果が得られます。
30万円÷160時間×120時間=22.5万円
重要なのは、按分計算の基準となる「所定労働時間」の設定です。この時間は就業規則で定められた正規の勤務時間を指し、休憩時間は含まれません。また、祝日の取り扱いや月によって営業日数が異なる場合の調整方法も、事前に明確なルールを策定しておく必要があります。
時給制
時給制の場合は、実際に勤務した時間に時給をかけるだけなので、計算自体は比較的シンプルです。ただし、時短勤務者の時給設定には注意が必要で、フルタイム勤務者と同等の業務を行う場合は同じ時給を適用し、業務内容や責任範囲が異なる場合は適切な時給を設定することが重要です。
また、各種手当の支給基準も、時給制と月給制では扱いが異なる場合があるため、給与規程で明確に定めておくことが必要です。
残業代・割増賃金の取り扱い
時短勤務者にも残業が発生する場合は、就業規則で定めた「所定労働時間」を超えた分に対して残業代を支給する必要があります。重要なのは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)ではなく、その従業員の所定労働時間が基準となることです。
例えば、1日6時間の時短勤務者が7時間勤務した場合、超過した1時間分は所定時間外労働として残業代の対象となります。ただし、この1時間は法定労働時間内のため、割増率は25%ではなく、就業規則で定めた所定時間外の割増率(多くの場合は25%)が適用されます。
一方、8時間を超えて勤務した場合は、法定労働時間外として労働基準法に基づく25%以上の割増賃金が必要です。
残業代の計算基礎となる時間単価は、時短勤務後の月給をもとに算出します。前述の例で月給22.5万円、月所定労働時間120時間の場合、時間単価は22.5万円÷120時間=1,875円となります。この単価に超過時間と割増率をかけて残業代を算出します。
深夜労働(午後10時から午前5時)や休日労働が発生した場合の割増賃金も、時短勤務者と通常勤務者で差はなく、深夜割増25%、法定休日労働35%の割増率が適用されます。
ただし、時短勤務者の場合は、体調管理や制度の趣旨を考慮し、できる限り残業や深夜労働を避けるような業務配分が望ましいとされています。
社会保険・雇用保険の取り扱い
時短勤務者が社会保険や雇用保険の加入要件を満たすかどうかは、勤務時間や月収によって判断されるため、勤務形態の変更時には必ず加入要件の確認が必要です。
健康保険・厚生年金保険の加入要件は、週の所定労働時間が20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上、雇用期間が2か月を超える見込みであることです。時短勤務者の多くは週20時間以上の勤務となるため、月給が8.8万円を超える場合は社会保険の加入対象となります。
ただし、育児休業からの復帰で時短勤務を開始する場合は、標準報酬月額の改定手続きが必要になることがあります。育児休業等終了時改定により、時短勤務開始後3か月間の報酬平均額を基に新しい標準報酬月額が決定されます。この手続きにより、時短勤務に応じた適正な社会保険料の負担となるよう調整されます。
雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上であれば加入対象となります。時短勤務者の多くがこの要件を満たすため、ほとんどのケースで雇用保険の継続加入が可能です。ただし、週20時間未満の勤務となる場合は、雇用保険の被保険者資格を喪失することになるため、失業給付の受給資格や育児休業給付金への影響を従業員に説明することが重要です。
有給休暇の計算方法
時短勤務者にも労働基準法に基づく年次有給休暇は付与されますが、付与日数や取得時の控除計算には特別な配慮が必要です。
年次有給休暇の付与日数は、所定労働日数に応じて決定されます。週5日勤務の時短勤務者であれば、勤務時間が短くても通常勤務者と同じ日数の有給休暇が付与されます。
一方で、週3日や週4日勤務の場合は、比例付与の制度により、所定労働日数に応じて減額された日数が付与されます。例えば、週3日勤務で継続勤務6年6か月の場合は、通常20日のところ11日の付与となります。
有給休暇を取得した際の支給額は、その従業員の1日分の所定労働時間に対応する金額となります。例えば、1日6時間の時短勤務者が有給休暇を1日取得した場合は、6時間分の賃金が支給されます。時間単位で有給休暇を取得する場合も同様で、時短勤務後の時間単価をもとに計算します。
欠勤控除の計算方法
欠勤控除も、欠勤した日の所定労働時間分を控除することが基本です。月給制の場合は、月額給与を所定労働日数で割った日額から、欠勤日の時間数に応じて按分計算します。
ただし、遅刻や早退の場合は時間単位での控除が一般的で、時短勤務者の時間単価をもとに不就労時間分を控除します。就業規則で控除の計算方法を明確に定めておくことで、トラブルを防げます。
【事例】時短勤務の給与計算のポイント
上記の時短勤務の基本ルールを踏まえ、実際の時短勤務者を想定した2つの事例を通じて、給与計算時にどのようなポイントに注意すべきかを具体的に解説します。
①育児中の時短勤務者のケース
育児と仕事の両立を目的に時短勤務を選択する従業員は多く、企業側も法的義務により柔軟な勤務体制を用意する必要があります。育児中の正社員Aさんが時短勤務を選択したケースでは、以下のように給与計算を行います。
【Aさんのプロフィール】
- 30代女性
- 正社員
- 2歳の子どもが1人
- 通常勤務時間:9~18(休憩1時間)
- 時短勤務時間:9~16(休憩1時間)
- 月給:280,000円(フルタイム想定)
| 項目 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 1日7時間(所定8時間より1時間短縮) | 時間数に応じた給与計算が必要 |
| 給与計算 | 月給 ×(7時間 ÷ 8時間)= 245,000円 | 月給を時間比例で按分 |
| 社会保険 | 基本的に加入継続(要等級確認) | 標準報酬月額が下がる可能性あり |
| 有給休暇 | 時短勤務でも付与される(比例付与) | 出勤日数・時間により調整が必要 |
②再雇用者の時短勤務パターン
定年退職後に再雇用された社員に対しては、フルタイムよりも短い勤務時間で契約されることがあります。再雇用による嘱託社員Bさんが時短勤務となった場合の給与計算対応を整理します。
【Bさんのプロフィール】
- 60代男性
- 再雇用契約
- 勤務形態:週4日勤務・1日5時間(合計20時間)
- 時給:1,500円
| 項目 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 週20時間(社会保険適用の境界) | 加入要件を満たすか要確認 |
| 給与計算 | 1,500円 × 20時間 × 4週 = 約120,000円/月 | 時給×時間数で月給算出 |
| 雇用保険 | 加入対象(週20時間以上) | 勤務条件が要件を満たすため |
| 社会保険 | 企業規模・本人希望により加入対象になる | 週20時間・月8.8万円基準に留意 |
時短勤務の給与計算でよくあるミス・トラブル
時短勤務者の給与計算では、勤務時間や制度の違いから通常勤務者とは異なる複雑な計算が求められるため、実務上さまざまなミスやトラブルが発生しやすくなります。ミスやトラブルは、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、法的問題に発展する可能性もあるため、事前に典型的なミスパターンを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
残業代の計算ミス
時短勤務者の残業代計算で最も多いミスは、フルタイム勤務の基準で残業時間を判定し、所定時間超過分の残業代を正しく支給しないケースです。
例えば、1日6時間の時短勤務者が8時間勤務した場合、2時間すべてを法定内残業として処理してしまうことがあります。本来、所定時間である6時間を超えた2時間分は、所定時間外労働として割増賃金の対象となります。さらに、法定労働時間8時間を超える部分がある場合は、法定時間外労働として25%以上の割増が必要です。
また、残業代の計算基礎となる時間単価の算出でもミスが発生しやすく、時短勤務前の月給をもとに計算してしまうケースがあります。時間単価は、時短勤務後の月給を月所定労働時間で割って算出する必要があります。例えば、時短前の月給30万円ではなく、時短後の月給22.5万円を基準としなくてはいけません。
社会保険・雇用保険の加入判定ミス
時短勤務により勤務時間や収入が変わることで、社会保険や雇用保険の加入基準を満たさなくなることがありますが、この判定を誤ると深刻な問題が発生します。最も多いミスは、時短勤務開始時に社会保険の資格喪失手続きを行うべきケースで継続加入させてしまうことです。
例えば、週30時間勤務から週15時間勤務に変更になった場合、週20時間未満となるため社会保険の被保険者要件を満たさなくなります。この場合、資格喪失手続きを行わないと、本人が保険料を負担し続けることになり、後で返還手続きが必要となります。
逆に、加入要件を満たしているにも関わらず、資格喪失手続きを行ってしまうミスもあります。週25時間勤務で月給12万円の時短勤務者の場合、週20時間以上かつ月給8.8万円以上の要件を満たすため社会保険の加入対象となりますが、「時短勤務=社会保険対象外」と誤解して手続きを行ってしまうケースです。
雇用保険も同様で、週20時間以上の勤務であれば継続加入が原則ですが、週20時間未満の勤務となった場合は資格喪失の手続きが必要です。特に育児休業給付金の受給中に時短勤務を開始する際は、雇用保険の取り扱いが複雑になるため、ハローワークや社会保険労務士への相談を通じて適切な手続きを確認することが重要です。
有給休暇の付与・取得計算の誤り
時短勤務者の有給休暇は、勤務時間に比例して計算されます。しかし、フルタイム基準で日数を付与したり、取得時に控除時間を誤ったりするケースが頻繁に発生します。
典型的なミスは、週3日勤務の時短勤務者に対して、フルタイム勤務者と同じ日数の有給休暇を付与してしまうことです。労働基準法では、所定労働日数が週4日以下の場合は、比例付与制度により減額された日数を付与することが定められています。例えば、継続勤務3年6か月で週3日勤務の場合は、通常の12日ではなく8日の付与となります。
また、有給休暇取得時の控除計算でも誤りが生じやすく、所定労働時間が6時間の従業員に対して、8時間分の控除を行ってしまうケースがあります。有給休暇は「その日に勤務したものとみなす」制度のため、時短勤務者が1日の有給休暇を取得した場合は、その従業員の1日の所定労働時間分(6時間)の賃金を支給し、8時間分を支給すると過剰支給となってしまいます。
有給休暇の管理では、各従業員の所定労働時間と時間単価を整理し、取得時に正確な計算ができるよう整備することが重要です。
説明不足による従業員とのトラブル
給与の按分や残業代計算の仕組みを従業員に十分説明しないと、給与減少に対する不満や未払い疑惑が生じ、深刻なトラブルに発展することがあります。
最も多いトラブルは、時短勤務による給与減額の仕組みを事前に説明せず、初回給与支給時に従業員から問い合わせがくるケースです。月給30万円から22.5万円への減額は金額的に大きなインパクトがあるため、勤務時間短縮に伴う当然の結果であることを事前に丁寧に説明し、計算方法も含めて理解を得ておく必要があります。
残業代の計算も説明不足によるトラブルが頻発します。時短勤務者が「6時間を超えた分はすべて残業代が出る」と理解している場合、所定時間外と法定時間外の違いや、割増率の適用基準を説明せずに給与を支給すると「計算が間違っている」という苦情につながります。特に深夜労働や休日労働が発生した場合の割増計算は複雑になるため、事例を示しながら説明することが重要です。
従業員に総合的な影響を説明し、従業員が十分な判断材料を持って制度を利用できるよう支援することが企業の責務といえます。
給与計算ソフトを活用すれば時短勤務にも確実に対応できる
時短勤務者の給与計算は、手作業では非常に複雑で、計算ミスやルール適用の誤りが発生しやすいです。その点、給与計算ソフトには時間単位での自動計算や、労働時間管理との連携、社会保険計算の自動化など、時短勤務にも確実に対応できる機能が備わっています。
多様な勤務形態への対応や人的ミスの削減、法令遵守の徹底を目的として、給与計算ソフトを活用することで、時短勤務制度の運用がより安全で効率的になります。特に従業員数が多い企業や、複数の時短勤務パターンを運用している企業では、給与計算ソフトの活用は必須といえるでしょう。
多様な勤務形態の設定・管理ができる
給与計算ソフトは、フルタイムや時短勤務、パートタイム、契約社員など、多様な勤務形態を個別に設定・管理できます。各従業員の勤務パターンを詳細に登録することで、勤務時間や給与体系に応じた按分計算や残業代計算が自動化され、複雑な計算もミスなく処理できます。
残業代の計算においても、各従業員の所定労働時間を基準とした自動判定が行われるため、時短勤務者が7時間勤務した場合には1時間分の所定時間外手当が、8時間を超えた場合には法定時間外手当が自動的に計算されます。深夜労働や休日労働も、該当する時間帯や日付を自動判定し、適切な割増率を適用した計算が実行されます。
人的ミスを削減できる
給与計算ソフトは、手作業や手入力による計算ミスや入力漏れを大幅に削減し、正確な給与計算を実行します。特に時短勤務者のように個別に細かな設定が必要な場合でも、一度設定を行えば継続的に正確な処理が可能となります。
勤怠管理システムとの連携機能を活用すれば、従業員がタイムカードやICカードで打刻した勤務時間データが自動的に給与計算ソフトに取り込まれ、リアルタイムで給与計算に反映されます。これにより、勤務時間の集計ミスや転記ミスが排除され、特に時短勤務者の複雑な勤務パターンでも正確に処理できます。
社会保険・雇用保険の判定を自動化できる
給与計算ソフトは、勤務時間や給与額に基づき、社会保険や雇用保険の加入判定や保険料計算を自動的に行います。これにより、法令違反のリスクを大幅に低減し、保険料の過不足や手続き漏れも防止できます。
社会保険の加入判定では、週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上、雇用期間2か月超の要件を自動チェックし、要件を満たす従業員を被保険者として自動識別します。時短勤務により勤務条件が変更された場合も、変更内容に基づいて加入資格の継続・喪失を自動判定し、必要な手続きの案内も表示されます。
有給休暇の付与・管理を効率化できる
給与計算ソフトは、各従業員の所定労働日数に基づいて自動計算するため、比例付与制度に該当する時短勤務者には適切な日数が自動付与されます。
例えば、週3日勤務の従業員には継続勤務期間に応じて比例付与日数が自動計算され、手動での日数調整が不要となります。また、入社日からの継続勤務期間も自動管理されており、付与時期の管理漏れも防ぐことができます。
時間単位の有給休暇取得も、時短勤務者の時間単価を自動計算し、取得時間に応じた給与支給額を正確に算出します。残日数や残時間数の管理も自動化されており、法定上限である年5日分(時短勤務者の場合は時間数換算)を超える時間単位取得を防ぐアラート機能も備えています。
給与計算の透明性を確保できる
給与計算ソフトでは、給与計算結果の詳細レポートや計算履歴を自動作成できるため、従業員への説明や内部監査において高い透明性を確保できます。特に時短勤務に伴う複雑な計算方法や控除の根拠を明確に示せるため、従業員とのトラブル防止にも大きな効果を発揮します。
給与明細書には、基本給の按分計算方法や、残業代の算定基礎、各種手当の支給根拠が詳細に記載され、従業員が自身の給与計算を理解できるよう配慮されています。例えば、「基本給300,000円×実働120時間÷所定160時間=225,000円」といった計算過程を明示することで、時短勤務による減額の妥当性を従業員が確認できます。
まとめ
時短勤務者の給与計算は、通常の勤務形態と比較して格段に複雑な処理が求められ、専門的な知識と細心の注意が必要な作業が数多く発生します。
手作業での処理では、計算ミスや法令適用の誤りが発生しやすく、従業員とのトラブルや法的問題に発展するリスクがあります。特に複数の時短勤務パターンを運用している企業では、人的な管理には限界があり、給与計算ソフトの導入が実質的に必須となっています。
企業全体で時短勤務の運用を成功させるためには、給与計算ソフトを活用し、企業と従業員双方にとって安心できる体制を構築することが重要です。
自社に最適な給与計算ソフトを見つけるには?
給与計算ソフトは、製品によって備わっている機能やサービスの幅が異なります。そのため、自社の導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。
自社に最適な給与計算ソフトを見つける際には「FitGap」をご利用ください。FitGapは、自社にぴったりの製品を選ぶための無料診断サービスです。簡単な質問に答えていくだけで、自社に必要なシステム要件が整理でき、各製品の料金や強み、注意点、市場シェアなどを知ることができます。
自社に最適な給与計算ソフトを選ぶために、ぜひFitGapをご利用ください。
サービスカテゴリ
AI・エージェント
ソフトウェア(Saas)