Googleフォームで社内アンケートを実施する方法!設計手順や運用ポイントを解説
社内アンケートを検討する際、「手軽で無料のツールはないか」と考える企業担当者は多いでしょう。その候補としてよく挙がるのがGoogleフォームです。
Googleフォームは無料で、専門知識がなくてもすぐにアンケートを作成できるため、多くの企業で活用されています。一方で、どんな機能が使えるのか・セキュリティは十分か・匿名性は保てるのかといった不安が生じることもあります。
この記事では、Googleフォームを使った社内アンケートの作成手順や運用ポイント、注意点を解説します。社内アンケートを成功させるために、ぜひ参考にしてください。
Googleフォームは社内アンケートに使える?
Googleフォームは「無料・簡単・即導入」という手軽さから、多くの企業で社内アンケートに利用されています。従業員満足度調査や業務改善案の収集、研修後のフィードバックなど、用途も幅広いのが特徴です。
社内アンケートに必要な基本機能もひと通り揃っており、主に以下の機能を利用できます。
- 多様な質問形式(選択式・記述式・段階評価・チェックボックスなど)
- 回答の自動集計
- スプレッドシートとのリアルタイム連携
- ファイル添付(資料提出にも対応)
- 回答の重複防止
- 回答期限・メール通知の設定
これらにより、作成→収集→基本分析をワンストップで完結できます。Googleアカウントさえあればすぐに始められるため、導入のハードルも低めです。特別なスキルがなくても使えることから、「まずは手軽に社内アンケートを始めたい」という企業にとって、Googleフォームは非常に扱いやすい選択肢といえるでしょう。
Googleフォームで社内アンケートを作成・運用する手順
Googleフォームで効果的な社内アンケートを作るには、段階ごとに正しく進めることが重要です。準備が不十分だと、回答の質や回答率が下がるため、計画的な設計が欠かせません。ここでは、準備→作成→配布→管理の流れを解説します。
①アンケートの目的を明確にする
アンケート作成の最初のステップは、目的を明確にすることです。目的が曖昧だと設問がブレて、結果の活用もしづらくなります。そのため、以下の要素をはっきりさせましょう。
- 何を知りたいのか
- どんな改善につなげたいのか
- 回答者は誰か(全社・部署など)
例えば、以下のように調査の狙いと活用方法を具体化することが重要です。
- リモートワークの課題把握と制度改善につなげたい
- 新入社員研修の満足度を測り、翌年度のプログラム改善に活かしたい
また、結果の使い方を先に決めておくと、必要な設問だけに絞れ、アンケートの質も上がります。
②質問項目を設計する
目的に沿って必要な設問を整理します。ポイントは、負担を減らしつつ必要な情報を確実に集めることです。質問が多すぎると回答率が下がるため、優先度をつけて絞り込み、10分以内で答えられる分量を目安にしましょう。質問順も大切で、答えやすい基本情報から始め、徐々に具体的な内容へ進めるとスムーズに回答してもらえます。
また、選択肢には「その他」「どちらでもない」など中立的な項目を入れることで、回答しやすい設計になります。
③Googleフォームでアンケートを作成する
設計ができたら、Googleフォームで実際のアンケートを作成します。ここでは、設計内容を正確に反映させることが重要です。作成手順は次の通りです。
①新規フォームを作成し、タイトル・説明文を設定する
タイトルはわかりやすく、説明文には「目的・所要時間・匿名性」などを簡潔に記載します。
②質問を追加し、最適な回答形式を選択する
選択式・段階評価・記述式など、内容に合った形式を設定すると回答しやすくなります。
③必要に応じて回答必須を設定する
必須項目を明確にし、回答漏れを防ぎます。
④デザインを調整する
テーマカラーやヘッダー画像を設定すれば、社内向けらしい統一感を出せます。
⑤プレビューで最終確認を行う
入力しづらい箇所や誤字、不要な設問がないかチェックします。
このステップを踏むことで、回答しやすく完成度の高いフォームに仕上がります。
④必要な設定を整える
フォーム作成が完了したら、用途に合わせて細かな設定を調整します。ここでの設定次第で、アンケートの運用しやすさが大きく変わるため、慎重に検討しましょう。
主な設定ポイントは次の通りです。
・匿名性の設定
匿名回答にしたい場合は「メールアドレスを収集」をオフにします。個人を特定したい・重複回答を防ぎたい場合は、社内アカウントでのログイン必須などを有効にします。
・回答期限の設定
回答期間をあらかじめ区切ることで、回答率の向上が期待できます。
・通知設定
回答ごとにメール通知をオンにしておくと、リアルタイムで状況を把握しやすくなります。
これらの設定は後からでも変更できますが、配布前に一度まとめて確認しておくと安心です。
⑤社内へ配布する
アンケートが完成したら、従業員に配布します。配布方法は、社内で普段使われている連絡手段に合わせて選ぶことが重要です。主な方法は以下の通りです。
- URLリンクを共有:社内チャット・イントラネットなどに掲載
- QRコードを掲示:会議資料や社内掲示物に印刷
- メール配信:対象者へ直接送付
日常的に使うチャネルで配布すると、回答率向上につながります。配布時は回答期限・所要時間・アンケートの重要性・結果の活用方法を明記すると協力を得やすくなります。また、部署ごとに配布タイミングを調整したり、管理職からの声かけを依頼したりするなど、回答促進の工夫も効果的です。
⑥回答状況を確認して必要に応じてリマインドする
Googleフォームでは回答状況をリアルタイムで確認できるため、この機能を使って適切にフォローしましょう。回答率の管理はアンケート成功の要です。
回答が少ない場合は、以下を行うのが有効です。
- リマインドの送付
- 締切前の「残り◯日」通知
- 回答が進んでいない部署への個別フォロー
ただし、リマインドの多用は逆効果になることもあるため、頻度には注意してください。
また、回答率が低い要因を分析し、質問の難易度・回答時間・配布方法に問題がないかを確認することも重要です。必要に応じて回答期限の延長や設問の見直しを行うことで、より多くの従業員から回答を集めやすくなります。
⑦回答結果を確認し、スプレッドシートで分析する
回答が集まったら、結果を確認し分析します。Googleフォームでも基本的なグラフ表示は可能ですが、詳細分析にはGoogleスプレッドシート連携が最も便利です。
Googleスプレッドシートを使えば、以下のようなより深い分析が行えます。
- グラフ表示
- 部署・年代などのセグメント分析
- ピボットテーブルによる詳細集計
作成した表やグラフはそのまま報告資料にも利用できるため、レポート作成も効率化できます。また、自由記述の内容も重要な情報源です。必要に応じてテキストマイニングツールを活用したり、手作業でカテゴリ分けし、従業員の「生の声」を丁寧に整理しましょう。
最後に、分析結果はアンケートの目的と照らし合わせて解釈し、具体的な改善アクションにつなげることが重要です。
Googleフォームで社内アンケートを行う際の注意点・課題
Googleフォームは、社内アンケートを無料かつ手軽に実施できる便利なツールですが、企業で本格的に運用する際には、いくつか注意点や課題もあります。
課題を事前に把握しておくことで、適切な運用方法を選んだり、必要に応じて他ツールとの併用・切り替えを検討しやすくなったりします。ここでは、あらかじめ押さえておきたい主な注意点・課題を解説します。
匿名性に限界がある
Googleフォームは匿名回答の設定ができますが、完全な匿名性を保証するツールではありません。センシティブなテーマを扱う場合は特に注意が必要です。
具体的には、以下のような点が課題になります。
- メールアドレス収集がオンの場合、回答者が特定される
- 組織アカウントのログイン必須にすると個人が判別可能になる
- URL共有時に、アクセスログが残る可能性がある
そのため、ハラスメント調査や人事評価に関連するアンケートなど、絶対に身元を特定してはいけない場面では、Googleフォームの匿名機能だけでは不十分なケースがあることを理解しておく必要があります。
セキュリティ面にリスクがある
企業の情報管理の観点では、Googleフォームの利用にいくつかのセキュリティリスクがあります。主なリスクは次の通りです。
- URL流出のリスク:URLが外部に漏れると、誰でも回答できる可能性がある
- データ保存場所の問題:回答データはGoogleのサーバーに保存されるため、自社のセキュリティポリシーと合わない場合がある
- セキュリティ基準の不一致:保存場所・暗号化方式・バックアップの取り扱いが、自社基準を満たすか確認が必要
特に、個人情報を扱う企業や機密性の高い業界では、社内規定との整合性チェックが必須です。
編集権限・閲覧権限の管理が弱い
Googleフォームはシンプルで使いやすい一方、権限管理の機能が弱いという課題があります。特に複数の担当者で運用する場合、以下の点が問題になりがちです。
- 編集権限を共有すると、誤操作で設問が書き換わるリスクがある
- 権限設定が粗く、閲覧のみ・分析のみなどの細かなアクセス制御が難しい
- 設定によっては、回答結果が誰でも見られる状態になることがある
- 人事・経営陣のみが確認すべき機密データでも、限定的なアクセス制御が困難
チームで運用する場合は、事前に権限範囲を明確にし、誤操作を防ぐルールを決めておくことが重要です。
高度な分析は難しい
GoogleフォームとGoogleスプレッドシートは、基本的な集計・分析には十分ですが、高度な分析には限界があります。継続的な組織改善を目的とする場合、以下の制約がネックになることがあります。
- 時系列比較・相関分析が標準機能ではできない
- ESスコアなどのエンゲージメント指標を自動算出できない
- 部署・職位別の自動レポート生成に対応していない
- 複数回のアンケート結果を組み合わせた統合分析が難しい
- 統計的有意性の検証など、高度な分析には追加ツールやスキルが必須
データ分析の専門知識がない場合、集めたデータを十分に活用できない可能性もあります。より深い洞察を得たい企業は、分析専用ツールとの併用を検討する必要があるでしょう。
従業員が社内システムではないことに不安を感じる場合がある
Googleフォームは外部サービスであり、その点に不安を感じる従業員もいます。例えば、以下のような心理的ハードルは、回答率や回答の質に影響する可能性があります。
- 「本当に社内だけで共有されるのか?」という疑念
- Googleアカウントへのログインが必要な場合の抵抗感
- 「回答内容がGoogleに保存され、利用されるのでは?」という懸念
- ITリテラシーが低い社員が、社内システム以外のツールに感じるストレス
特に、個人的な意見や改善提案を求めるアンケートでは不安が強まりがちです。
従業員アンケートツールで社内アンケートを効率的に運用しよう
Googleフォームは手軽で便利ですが、匿名性・権限管理・セキュリティ・継続的なサーベイ運用といった面では課題があります。これらの課題が組織にとって大きな制約となる場合は、従業員アンケートツールを検討することが有効です。
従業員アンケートツールは、アンケートの作成・配布・回収・分析・改善提案までを一元管理でき、Googleフォームでは難しいレベルの安全性と運用効率を実現できます。
高度な匿名化で本音の回答が集まりやすい
従業員アンケートツールは、Googleフォームよりも匿名性が圧倒的に強固です。そのため、従業員がより率直に回答できる環境を提供できます。
- 回答者の識別情報を自動で匿名化し、個人を特定できる要素を排除する
- IPアドレス・タイムスタンプの記録有無を制御できる
- 回答データの暗号化・匿名化処理が自動化される
- 管理者でも個別回答を特定できない設計のツールが多い
こうした高い匿名性により、ハラスメントや職場環境のようなセンシティブなテーマでも、正確で信頼性の高いデータを収集できます。
権限管理が細かく設定できる
従業員アンケートツールでは、誰がどの情報にアクセスできるかを細かく設定できます。これにより、機密性を保ちながら、必要な関係者だけが適切にデータを扱える環境を構築できます。
- 管理者・閲覧者・部署責任者など、役割ごとに閲覧範囲を制限できる
- 不要な情報共有や、誤操作によるデータ改変を防止できる
- データのダウンロード・印刷権限も個別に設定でき、情報漏洩リスクを最小化できる
- Googleフォームのような「編集権限リンクを誤って共有する」事故も防げる
このように、従業員アンケートツールは安全で柔軟な権限管理を実現し、組織に合った情報管理体制を構築できます。
結果を自動分析できる
従業員アンケートツールには、回答結果を自動で分類・集計し、グラフ・レポート形式で可視化する機能が備わっています。これにより、分析にかかる時間と労力を大幅に削減できます。
- 部署別・年代別・役職別など、多角的な分析を自動生成できる
- エンゲージメントスコアや満足度などの専門指標を自動算出できる
- 過去データとの比較分析や、時系列での変化追跡にも標準対応している
- 組織課題の抽出から改善提案までのプロセスが短縮され、迅速な意思決定が可能
このように、従業員アンケートツールを活用すれば、継続的な組織改善に必要なデータを効率的に取得し、スピーディーに活用できます。
セキュリティ基準が明確
従業員アンケートツールは、高度なセキュリティ機能を備えており、企業の情報セキュリティ要件に対応しやすい設計になっています。多くのツールはISO27001・SOC2などの国際認証を取得しており、以下のような仕組みが標準提供されています。
- 保存・送信時のデータ暗号化
- 定期的なセキュリティ監査
- 侵入検知システム
- データ保存場所・処理プロセス・バックアップ方法の明示
これにより、企業はコンプライアンス要件への適合を容易に確認でき、Googleフォームではカバーしきれない情報保護ニーズも満たせます。特に、規制が厳しい業界や大企業にとって大きな安心材料になるでしょう。
連続調査や定点観測がしやすい
従業員アンケートツールは、単発調査だけでなく定期サーベイの運用を前提に設計されています。そのため、組織状態を継続的に把握し、長期的な改善活動を効率的に進められます。
- 月次・四半期などの定期調査を自動化でき、作成・配布の手間を削減
- 過去データとの比較やトレンド分析が容易
- 部門ごとの改善進捗を可視化
- 指標の悪化や異常値を知らせるアラート機能で早期発見が可能
これらの機能により、組織課題の根本解決や持続的な改善サイクルの構築を強力に支援します。
まとめ
Googleフォームは無料で使いやすく、基本機能も揃っているため、社内アンケートの入口として非常に優れています。
一方で、匿名性の限界・セキュリティリスク・権限管理の弱さ・高度分析の制約など、企業が本格的に活用する際には見逃せない課題があります。特に、センシティブなテーマや全社規模の継続調査では、Googleフォームだけでは不十分なケースが多くなります。
社内アンケートは、従業員の声を可視化し、組織課題の発見と改善につなげる重要な施策です。目的・規模・求める匿名性・継続性・セキュリティ要件を踏まえ、自社に最適なツールを選ぶことが大切です。
まずはGoogleフォームで始め、必要に応じて従業員アンケートツールへ移行する段階的な導入も効果的な方法といえるでしょう。
自社に最適な従業員アンケートツールを見つけるには?
従業員アンケートツールは、製品によって備わっている機能やサービスの幅が異なります。そのため、自社の導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。
自社に最適な従業員アンケートツールを見つける際には「FitGap」をご利用ください。FitGapは、自社にぴったりの製品を選ぶための無料診断サービスです。簡単な質問に答えていくだけで、自社に必要なシステム要件が整理でき、各製品の料金や強み、注意点、市場シェアなどを知ることができます。
自社にぴったりの従業員アンケートツールを選ぶために、ぜひFitGapをご利用ください。
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