Excelで採用管理を行う方法!限界とシステム移行の判断基準も
限られた予算で採用管理を始めたい場合、Excelを活用した管理方法は手軽で実用的な選択肢となります。しかし、Excelでの採用管理には適切な設計と運用ルールが不可欠です。この記事では、Excelで採用管理を行う具体的な手順から、運用上のメリット・デメリットを紹介します。
Excelで採用管理を行う方法
まずは、Excelで採用管理表を作成し、効果的に運用するためのステップを解説します。
採用管理の目的を明確にする
Excelで採用管理を始める前に、何を管理したいのか目的を明確に定めることが重要です。一般的な採用管理の目的には、応募者情報の一元管理や、選考ステータスの可視化、面接日程の調整、選考評価の記録、内定者フォローなどがあります。
例えば、応募者が多い職種では選考ステータスの管理を重視し、エンジニア採用では技術評価の記録に重点を置くなど、職種や採用規模によって管理の重点は変わります。
目的を明確にすることで、必要な機能や項目が整理され、効率的に採用管理を行えます。また、後から項目を追加する手間も減り、継続的な運用がしやすくなります。
必要項目を洗い出す
採用管理の目的が決まったら、管理表に必要な項目を具体的に洗い出しましょう。以下は、必要項目の一例です。
| 項目 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 応募者の基本的な個人情報 | 氏名 年齢 性別 連絡先(電話・メール) 住所 応募日 応募経路 希望職種 |
| 選考管理 | 選考ステータス関連の情報 | 書類選考結果 一次面接日程・結果 二次面接日程・結果 最終面接日程・結果 内定通知日 入社予定日 |
| 評価管理 | 選考結果の判断基準に関する情報 | 各選考段階での評価点数 評価コメント 面接官名 合否理由 |
| 入社後フォロー | 入社後の受け入れや育成を含む管理情報 | 入社手続き進捗 研修予定 配属先 |
項目を洗い出す際は、現場の採用担当者だけでなく、面接官や人事責任者の意見も聞き、実際の業務フローに沿った項目設計を心がけましょう。
Excelで採用管理表(テンプレート)を作成する
必要項目が決まったら、実際にExcelで採用管理表を作成します。1行に1名分の応募者情報を入力し、列に各項目名を設定する形式が最も管理しやすく汎用性があります。

フィルタ機能を設定して、特定の選考ステータスや応募経路での絞り込んだり、条件付き書式を使って、選考ステータスに応じてセルの色を変更したりすると便利です。例えば、「書類選考中」は黄色、「面接中」は青色、「内定」は緑色、「不合格」は赤色といった具合に色分けすると、一目で全体の選考状況を把握できます。
データ入力ルールを決める
複数の担当者が同じExcelファイルを使用する場合、入力ルールの統一は必須です。担当者によって入力方法が異なると、データの整合性が失われ、後の集計や分析で正確な結果が得られなくなります。
まず、日付形式を統一しましょう。「2024/3/15」「2024年3月15日」「3/15」など、さまざまな形式で入力されると、並び替えやフィルタリングが正しく機能しません。Excelのセル書式設定で日付形式を固定し、入力ルールとして明文化しておくことが重要です。
選考ステータスや応募経路などの選択項目は、ドロップダウンリストを設定して入力の統一を図りましょう。データ検証機能を使えば、決められた選択肢以外の入力を防げます。
例えば、選考ステータスには「応募受付」「書類選考中」「書類通過」「一次面接予定」「一次面接完了」「最終面接予定」「最終面接完了」「内定」「内定辞退」「不合格」といった選択肢を設定します。
ファイルの管理方法を整備する
Excelファイルは常に最新状態を維持し、複数の担当者が同じ情報を共有できる環境を作ることが重要です。ファイル管理の不備は、情報の二重管理や更新漏れといった深刻な問題を引き起こします。
また、「面接結果は面接当日中に入力」「週次で進捗状況を確認」「月末に全体の振り返りを実施」といった更新フローやルールを設定し、定期的なメンテナンスサイクルを作りましょう。
採用管理をExcelで行うメリット
Excelでの採用管理には、特に中小企業や採用活動を始めたばかりの組織にとって大きなメリットがあります。ここでは、採用管理をExcelで行うメリットを紹介します。
コストがかからない
多くの企業ではMicrosoft Officeを導入しているため、既存のライセンス内で採用管理を開始できます。浮いた費用を求人媒体への投資や面接官のスキルアップ研修に充てることで、採用活動全体の質を向上させることも可能です。
また、将来的に採用管理システムを導入する際も、Excelでの運用経験が要件定義や機能選定に活かされるため、決して無駄になることはありません。
自由度が高くカスタマイズできる
Excelでは、必要な項目だけを設定し、自社独自の評価基準や選考フローに完全に対応した採用管理表を作成できます。例えば、技術職の採用では技術テストの結果を詳細に記録する項目を追加し、営業職の採用では商談ロールプレイングの評価を重視した項目設定にするなど、職種別の特性を反映した管理が可能です。
レイアウトも自由に変更でき、使いやすい形に調整できます。項目の並び順や列幅、色設定、数式の設定など、現場の担当者が最も使いやすい形にカスタマイズできるため、運用の継続性が高まります。
操作に慣れている担当者が多い
多くのビジネスパーソンがExcelを日常的に使用しているため、基本的な入力操作や並び替え、フィルタリングなどの機能は多くの担当者がすでに習得しており、スムーズに採用管理業務を開始できます。
操作に慣れた環境で作業できることで、担当者のストレスが軽減され、採用業務本来の目的である「よい人材の獲得」により多くの時間と労力を集中できるようになります。
採用管理をExcelで行うデメリットと限界
Excelでの採用管理は手軽で実用的な方法ですが、採用規模の拡大や業務の複雑化に伴い、さまざまな限界が見えてきます。課題をしっかりと理解し、場合によっては新たなシステム導入なども検討することが重要です。
ヒューマンエラーが起こりやすい
Excelでの採用管理では、すべての情報を人の手で入力・更新するため、ヒューマンエラーのリスクが常に存在します。
面接日程の記載間違いや、連絡先の誤入力、選考ステータスの更新忘れなどが発生すると、応募者への連絡が遅れたり、重複して連絡してしまったりする問題が生じます。特に、面接日程の間違いは応募者に大きな迷惑をかけ、企業の信頼を損なう原因となります。
また、同じファイルを複数人が同時に編集すると、データの整合性が失われたり、一方の変更内容が失われたりする可能性があります。担当者によって入力ルールの解釈が異なると、データの統一性が保てません。
データ量が増えると管理が煩雑化する
採用活動が活発化し、管理する応募者数が増加すると、Excelでの管理は次第に煩雑になります。一般的に、応募者数が100名を超えてくると、Excelでの管理に限界を感じ始める企業が多くなります。
特定の条件で応募者を探す際、Excelのフィルタ機能だけでは限界があり、複数の条件を組み合わせた検索が困難になります。例えば、「特定の大学出身で、エンジニア職希望で、最終面接が来週予定の応募者」といった複合的な条件での検索は、手作業で確認するしかなくなります。
また、過去の採用データと現在の採用データが混在し、必要な情報を見つけるのに時間がかかるようになります。年度別や職種別にファイルを分けても、横断的な分析や比較が困難になります。
情報更新が追いつかなくなる
採用活動のペースが上がると、Excelでの情報更新が実際の選考進捗に追いつかなくなることがあります。Excelではリアルタイムでの情報共有ができないため、担当者間での情報格差が生じます。例えば、Aさんは最新の選考状況を把握しているが、Bさんは古い情報しか知らないという状況が発生し、応募者への対応に一貫性がなくなります。
また、複数の面接官の予定と応募者の希望を調整する際に、Excelでは各関係者のスケジュールをリアルタイムで確認できないため、スケジュール調整に多くの時間を要します。急な変更があった場合の情報伝達も困難になります。
情報更新の頻度が下がることで、古い情報に基づいた判断をしてしまったり、すでに選考を辞退した応募者に連絡を続けてしまったりするミスも発生しやすくなります。
セキュリティ面の不安がある
採用管理では大量の個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策は極めて重要です。Excelファイルでの個人情報管理には、様々なセキュリティリスクが存在し、情報漏洩の可能性を完全に排除することは困難です。
Excelファイルは簡単にコピーできるため、必要以上に多くの人がファイルにアクセスできる状況になったり、メールで不適切に共有されたりするリスクがあります。
また、Excelのパスワード機能は比較的簡単に解除できるツールが存在するため、パスワードをかけていたとしても十分なセキュリティ対策とはいえません。また、パスワードを設定しても、ファイル自体が外部に流出すれば、時間をかけて解析される可能性があります。
Excelから採用管理システムへ移行すべき理由
Excelでの採用管理に限界を感じ始めたら、専用の採用管理システムへの移行を検討するタイミングです。Excelと採用管理システムでは、以下のような違いがあります。
| Excel | 採用管理システム | |
|---|---|---|
| コスト | 既存で使用している場合は初期費用なし | 初期費用・月額費用が発生する |
| 導入スピード | すぐに作成・運用開始できる | 導入準備が必要 |
| カスタマイズ性 | 自社仕様に設計可能 | システム仕様範囲内で設定可能 |
| 管理効率 | データ量が増えると煩雑化しやすい | 応募者情報・進捗・履歴を一元管理できる |
| 情報共有 | リアルタイム性に欠ける | リアルタイムに更新共有が可能 |
| セキュリティ | 権限管理が難しく、個人情報漏えいリスクがある | アクセス権限管理や個人情報保護対策が標準装備 |
| ヒューマンエラー | 発生しやすい | 発生しにくい |
| レポート | 手作業で作成が必要 | 自動生成できる |
採用管理システムの導入により、Excel管理による課題が解決され、採用活動の質と効率が大幅に向上します。移行の判断基準と具体的なメリットを理解し、適切なタイミングで移行を実現しましょう。
応募者情報を一元管理できる
採用管理システムでは、応募者の基本情報や履歴書・職務経歴書、選考履歴、面接評価、内定関連情報などがすべて関連付けられて保存されます。担当者は1つの画面で応募者の全体像を把握でき、過去の経緯を瞬時に確認できるため、応募者とのやり取りの質が向上します。
複数の職種に応募している応募者や、過去に応募歴がある応募者の管理も適切に行えます。Excelでは同じ応募者が複数の行にわたって記録され、管理が煩雑になりがちですが、採用管理システムでは1人の応募者として統合管理され、職種別の選考状況を並行して追跡できます。
また、採用担当者が変更になっても、すべての情報が引き継がれ、業務の継続性が保たれます。Excelでは担当者固有の管理方法や暗黙知が存在しがちですが、採用管理システムでは標準化された形で情報が蓄積されるため、誰でも同じレベルで業務を行えます。
選考進捗がリアルタイムで共有できる
採用管理システムでは、面接官が評価を入力すると、即座に採用担当者や人事責任者が確認でき、次のアクションを迅速に判断できます。
一次面接、二次面接、最終面接それぞれの評価が時系列で蓄積され、各段階での判断根拠が明確に記録されるため、複数人での面接評価も効率的に管理できます。面接官は他の面接官の評価を参考にしつつ、偏りのない総合的な判断を下せるようになります。
また、カレンダーツールと連携することにより、面接官の予定と応募者の希望を自動的にマッチングし、最適な面接日程を提案できます。急な変更があった場合も、関係者全員に自動通知され、迅速な対応が可能になります。
セキュリティが強化される
採用管理システムでは、個人情報保護に特化したセキュリティ機能が標準装備されており、高度なセキュリティ対策が可能です。
アクセス権限の細かな設定により、必要最小限の人員のみが情報にアクセスできます。例えば、採用担当者はすべての情報にアクセスできるが、面接官は担当する応募者の情報のみ閲覧可能といった制御が可能です。また、部署異動や退職時には即座に権限を停止でき、情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。
また、専用のサーバーでデータが管理され、不正アクセスや災害時のデータ消失リスクが大幅に軽減されます。アクセスログが詳細に記録されるため、万が一の問題発生時には迅速な原因究明と対策が可能です。
まとめ
Excelでの採用管理は、コストを抑えて採用活動を始められますが、事業の成長とともに限界が来るのも事実です。採用人数の増加や選考プロセスの複雑化、コンプライアンス要求の高度化に対応するためには、専用の採用管理システムへの移行が不可欠です。
採用管理の効率化は、優秀な人材の獲得競争において重要な差別化要因となります。まずはExcelでの基盤を固め、適切なタイミングで採用管理システムに移行し、効率的な採用体制を構築していきましょう。
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