経費精算書の書き方!効率的な運用方法と課題解決のポイントも紹介
社員から提出される経費精算書のフォーマットがバラバラで集計に時間がかかったり、承認フローが滞ったり、紙での管理が負担になったりと、さまざまな課題を抱えている企業は少なくありません。
適切な経費精算書の作成と運用は、企業の財務管理において重要な役割を果たします。しかし、記載項目の不明確さや運用方法の統一性不足により、本来スムーズに進むべき経費精算業務が複雑化してしまうケースも多く見られます。
この記事では、経費精算書の基本的な書き方や必須記載項目、効率的な運用フローなどを詳しく解説します。また、多くの企業が直面している課題とその解決方法もお伝えします。正確で効率的な経費精算業務の実現に向けて、ぜひ参考にしてください。
経費精算書とは?
経費精算書とは、社員が業務に関連して立て替えた費用を会社に請求するために作成する書類です。出張時の交通費や宿泊費、取引先との会食費、事務用品の購入費など、業務上必要な支出を記録し、後日会社から払い戻しを受けるための正式な申請書類として機能します。
経費精算書には、支出の日付や金額、目的、支払い方法などの詳細情報を記載し、領収書やレシートなどの証憑書類を添付することが一般的です。税務上の要件を満たすとともに、会社の内部統制や予算管理の観点からも重要な役割を担っています。
また、会計処理において適切な勘定科目へ計上するための基礎資料としても活用されるため、正確性と完全性が求められる重要な書類といえます。
経費精算書に記載漏れ・不備があるとどうなる?
経費精算書に記載漏れや不備があると、再提出や修正作業が発生し、社員と経理担当者双方の工数が増加します。
さらに、税務上の問題が発生するリスクもあります。適切な証憑が添付されていない場合や、記載内容に不整合がある場合は、税務調査時に経費として認められない可能性があります。これは企業の税務リスクを高めるだけでなく、追徴税や加算税といった経済的負担につながる恐れもあります。
また、内部統制の観点からも問題となり、監査時に指摘事項となったり、コンプライアンス体制の評価に悪影響を与えたりする可能性があります。そのため、経費精算書を正確に作成する必要があります。
経費精算書に記載すべき項目一覧
経費精算書には、必要な項目を漏れなく記載することが重要です。以下は、一般的な経費精算書に含めるべき必須項目の一覧です。
| 分類 | 項目 | 記載内容・注意点 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 申請者氏名 | 所属部署、社員番号も併記 |
| 申請日 | 書類作成日を記載 | |
| 精算対象期間 | 経費発生期間を明確に記載 | |
| 支出詳細 | 利用日 | 各経費の発生日を正確に記載 |
| 利用目的・内容 | 業務との関連性が分かる具体的な内容 | |
| 支出先 | 店舗名、会社名、サービス名など | |
| 支出金額 | 税込金額を記載、消費税額も別途記載 | |
| 支払い方法 | 現金、クレジットカード、電子マネーなど | |
| 会計処理 | 勘定科目 | 交通費、会議費、消耗品費など適切な科目 |
| 部門・プロジェクト | 費用配賦先の指定 | |
| 承認欄 | 上司承認欄 | 承認者の署名・押印欄 |
| 経理確認欄 | 経理担当者の確認サイン欄 | |
| 証憑関連 | 添付書類一覧 | 領収書、レシート等の添付資料リスト |
| その他 | 備考欄 | 特記事項や補足説明 |
上記の項目は、税務要件を満たし、適切な会計処理を行うために不可欠です。特に利用目的や業務との関連性を具体的かつ明確に記載することで、承認プロセスの円滑化と税務リスクの軽減につながります。
経費精算書の作成・運用フロー
経費精算書を効率的に作成・運用するためには、申請から承認、支払いまでの一連の流れを明確にし、各段階で適切な処理を行うことが重要です。ここでは、基本的な運用フローを6つのステップに分けて解説します。
①経費内容の確認と領収書整理
まずは、申請者が精算対象となる経費の内容確認と領収書の整理を行います。出張費や交通費、会議費、消耗品費など、業務に関連して発生した立替経費を漏れなく把握します。
②必要項目の記入
整理した領収書をもとに、申請者が日付や利用目的、金額、支払い方法、勘定科目などの必要項目を正確に記入します。記入時は、利用目的を具体的に記載することが特に重要です。
単に「会議費」ではなく「新商品企画会議での懇親会費」「取引先A社との契約打合せ」など、業務との関連性が明確にわかる内容を記載します。これにより、承認者が内容を理解しやすくなり、承認プロセスの迅速化につながります。
③証憑書類の添付
経費精算書への記入が完了したら、申請者が領収書やレシート、交通費ICカードの履歴など、支出を証明する書類を添付します。証憑書類は、税務上の要件を満たすとともに、内部統制の観点からも重要な役割を果たします。
電子レシートやデジタル領収書の場合は、印刷して添付するか、会社の方針に従ってデジタルデータとして保存します。いずれの場合も、原本性を保ち、税務要件を満たす形で保管することが重要です。
④上司への申請・提出
経費精算書と証憑書類が整ったら、申請者が所属部署の上司へ提出します。複数の部署にまたがる経費や、プロジェクト関連の支出については、関係する上司や責任者への情報共有も検討し、承認プロセスが滞らないようにすることが大切です。
⑤承認・経理部門での確認
上司による承認が完了すると、経費精算書が経理部門に回され、内容確認と会計処理が行われます。経理部門では、添付された証憑書類と記載内容の照合、勘定科目の適正性、金額計算の正確性などを確認します。不明な点や確認が必要な事項がある場合は、申請者や承認者に問い合わせを行い、必要に応じて追加資料の提出を求める場合もあります。
⑥精算・支払い処理
最終承認が完了すると、経理部門で支払い処理が実行され、申請者の給与振込口座への入金などにより経費精算が完了します。支払い時期は会社の締め切りサイクルに従って決定され、多くの企業では月末締めの翌月支払いなどが一般的です。
支払い処理と同時に、経費精算書や証憑書類の保管手続きも行われます。税務上の保存期間や会社の文書管理規定に従って、適切な方法で保管され、必要時に迅速に検索・参照できる体制が整備されます。
また、申請者に対しては支払い完了の通知が行われ、精算内容の確認と今後の経費申請における注意事項などが伝達される場合もあります。
経費精算書の作成・運用でよくある課題
多くの企業では、経費精算書の作成・運用においてさまざまな課題を抱えています。これらの課題は業務効率の低下や管理コストの増加につながるため、適切な対策が必要です。
フォーマットが統一されていない
多くの企業では、部署ごとに異なる様式を使用していたり、個人が独自に作成したExcel表を使用していたりするケースが見られます。
フォーマットが統一されていないと、経理担当者が内容確認や集計作業を行う際に、各フォーマットの違いを理解し、それぞれに対応する必要があるため、確認工数が大幅に増加してしまいます。また、記載項目や記載方法が統一されていないことで、必要な情報が不足していたり、逆に不要な情報が含まれていたりする問題も発生します。
さらに、新入社員や異動してきた社員にとっては、どのフォーマットを使用すべきか判断が難しくなり、間違ったフォーマットでの申請により再提出が発生するケースも少なくありません。
承認フローが遅延しやすい
紙やExcelベースでの経費精算書では、承認フローの遅延が慢性的な問題となっています。特に出張の多い営業部門や、複数のプロジェクトを抱える部署では、承認者が不在になることが多く、書類が机の上で停滞してしまうケースが頻発します。
承認者が出張中や休暇中の場合、代理承認の仕組みが整備されていないと、申請者は承認者の帰社を待つしかなく、精算が大幅に遅れてしまいます。その結果、社員の立替負担が長期化し、キャッシュフローに影響を与えるだけでなく、社員の不満やモチベーション低下にもつながります。
また、承認レベルが複数設定されている場合、各段階での滞留により累積的な遅延が発生し、本来数日で完了する精算が数週間から数ヶ月かかってしまうケースも珍しくありません。このような状況は、経理部門の月次決算作業にも影響を与え、正確な財務報告の作成を困難にする要因ともなります。
保管・管理が煩雑になる
紙ベースでの経費精算書では、保管と管理の煩雑さが大きな課題となります。税務上の保存期間を考慮すると、5年から7年間の長期保管が必要となり、物理的な保管スペースの確保が企業にとって大きな負担となります。
また、特定の取引先との会食費を調べたい場合や、プロジェクト関連の経費を集計したい場合など、必要な書類を探し出すのに多大な時間と労力を要します。書類の紛失リスクも常に存在し、重要な証憑を失うことで税務調査時に困難な状況に陥る可能性もあります。
さらに、複数拠点を持つ企業では、各拠点での保管方法が統一されておらず、監査や内部統制の観点から課題となるケースも多く見られます。
経費精算書の効率化には経費精算システムがおすすめ
経費精算書の運用課題を根本的に解決するためには、経費精算システムの導入が有効です。経費精算システムの導入により、手作業中心の業務を大幅に効率化し、正確性の向上とコスト削減を同時に実現できます。
経費精算システムとは?
経費精算システムとは、申請から承認、支払いまでの一連の経費精算プロセスを電子的に管理するシステムです。Web上での経費申請や、電子承認ワークフロー、会計システムとの連携、電子帳簿保存法対応などの機能が備わっています。また、交通費の自動計算機能や、クレジットカードや交通ICカードとの連携、領収書のOCR読み取り機能など、入力作業を大幅に削減する機能も提供されています。
多くの経費精算システムでは、会社の組織構造や承認ルールに合わせた柔軟な設定が可能で、部署やプロジェクト別の予算管理や、経費の使用状況分析、レポート出力などの管理機能も充実しています。クラウド型のサービスが主流となっており、初期導入コストを抑えながら、常に最新の機能とセキュリティ対策を利用できます。
経費精算システムを導入するメリット
経費精算システムを導入することで、外出先でも申請が可能になり、電子承認により承認者の場所を問わず迅速な承認が実現します。承認者への自動通知機能により、承認忘れや遅延も防げます。
交通費の自動計算やクレジットカード明細の自動取り込み、OCR機能による領収書の自動読み取りなどにより、手入力によるミスを大幅に減らせます。また、入力必須項目の設定や入力値の自動チェック機能により、申請時点で不備を防ぐことも可能です。
加えて、電子帳簿保存法に対応した電子保存により、物理的な保管スペースが不要になり、検索機能により必要な書類を瞬時に見つけられます。承認履歴や修正履歴の自動記録により、監査対応も大幅に簡素化されます。
自社に最適な経費精算システムを見つけるには?
経費精算システムは、製品によって備わっている機能やサービスの幅が異なります。そのため、自社の導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。
自社に最適な経費精算システムを見つける際には「FitGap」をご利用ください。FitGapは、自社にぴったりの製品を選ぶための無料診断サービスです。簡単な質問に答えていくだけで、自社に必要なシステム要件が整理でき、各製品の料金や強み、注意点、市場シェアなどを知ることができます。
自社にぴったりの経費精算システムを選ぶために、ぜひFitGapをご利用ください。
まとめ
経費精算書の適切な作成と運用は、企業の財務管理において不可欠です。記載すべき必須項目の理解や、効率的な運用フローの構築、そして継続的な改善により、正確で迅速な経費精算業務を実現できます。
自社の経費精算業務に課題を感じている場合は、現状の問題点を整理し、経費精算システムの導入を検討することをおすすめします。適切なシステム選定と段階的な導入により、効率的で正確な経費精算業務の実現が可能となるでしょう。
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