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2025.10.20

経費精算でクレジットカードの明細は使用できる?活用方法と課題を整理

経費精算にクレジットカードを活用することで、立替精算の負担軽減や経理業務の効率化が期待できます。しかし、適切な管理体制を整えなければ、不正利用のリスクや税務上の問題が発生する可能性があります。

本記事では、クレジットカードを使った経費精算の具体的な方法と注意点を解説します。経費処理の改善を検討している企業の担当者はぜひ参考にしてください。

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経費精算でクレジットカードの明細は使用できる?

クレジットカードの明細は、経費内容の確認や証跡として活用できます。ただし、税務上の正式な証憑としては不十分であり、領収書の取得が必要になります。明細だけでは経費として認められない理由と、適切な証憑管理の方法を以下で詳しく解説します。

クレジットカード明細の役割

クレジットカードの明細には、利用日や利用先、金額といった基本情報が記載されており、経費内容の確認や社内承認時の参考資料として十分に活用できます。特に法人カードの場合は、社員の経費利用状況を一元的に把握できるため、担当者にとって非常に有用な資料となります。

クレジットカード明細だけでは証憑にならない理由

税務上、クレジットカードの明細は正式な証憑(領収書・請求書)の代わりにはなりません。明細はあくまでクレジットカード会社が発行する利用履歴であり、実際の取引内容を証明するためには、発行元(店舗やサービス提供者)からの領収書が必要です。

これは、明細に記載されている情報が限定的であることが主な理由です。例えば、明細には「〇〇商店 5,000円」と記載されていても、何を購入したのか、誰と食事をしたのか、といった具体的な取引内容は把握できません。税務調査の際には、経費の妥当性を証明するために詳細な取引内容が求められるため、明細だけでは不十分とされています。

また、明細は後から修正や変更ができないため、取引時点での正確な情報を保持している領収書の方が証憑としての信頼性が高いと判断されます。

領収書が必要なケース

領収書が必要なケースは多岐にわたります。飲食費や接待費などを交際費として計上する場合は、税務署から詳細な説明を求められる可能性が高いため、必ず領収書を保管しておく必要があります。この場合、同席者の氏名や会議の目的なども合わせて記録しておくことが重要です。

出張交通費や宿泊費など旅費交通費として計上する場合も、領収書の保管が必要です。特に宿泊費は金額が大きくなりやすく、税務調査で重点的にチェックされる項目の1つです。出張先や宿泊の目的、期間などを明確に記録しておくことで、税務上の問題を回避できます。

その他、仕入れや外注費、租税公課など勘定科目を問わず、税務調査で取引証憑の提示を求められる場合があります。どの科目であっても、適切な領収書や請求書を保管しておくことが基本的な対応となります。金額の大小に関わらず、証憑書類の管理は経理業務の重要な要素です。

例外として認められるケース

電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入し、クレジットカードの明細と領収書を紐付けて管理している場合は、一部の手続きで例外的な扱いが認められることがあります。システム内で明細と領収書を同時に管理することで、証憑としての信頼性を担保できるためです。

ただし、会社の経理規程や税務署の指導方針によって扱いが異なるため、事前に税理士や税務署に確認することが重要です。電子帳簿保存法の要件を満たしている経費精算システムであっても、運用方法や保存形式によっては認められない場合があります。

また、少額な経費や定期的な支払いなど、一部の取引では明細のみでの処理が認められるケースもあります。しかし、このような例外的な扱いは限定的であり、原則として領収書の取得・保管が必要であることに変わりはありません。

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クレジットカードで経費精算を行う流れ

クレジットカードを利用した経費精算の適切な手順を理解し、各段階で必要な作業を確実に実行することが重要です。ここでは、基本的な流れを段階別に詳しく解説します。

利用(決済)

社員が業務上必要な経費をクレジットカードで決済する際は、事前に会社の経費利用規程を確認し、承認された用途でのみ使用することが重要です。法人カードでは利用限度額や利用可能店舗が制限されている場合があるため、条件を把握しておく必要があります。

決済時には、利用控えを必ず受け取り、紛失しないよう保管します。また、利用目的や同行者などの情報も、申請時に備えてメモすることが重要です。

個人カードを使用する場合は、私的利用と混同しないよう、専用カードを用意するか、利用時点で明確に区分しておくようにします。後の申請時に困らないよう、業務利用であることを明確にしておきましょう。

証憑(領収書)取得

クレジットカードの利用と同時に受け取る領収書には、利用日や利用先、金額、取引内容が明記されている必要があります。特に接待費や交際費の場合は、同席者の氏名や会議の目的なども記載してもらうか、別途記録しておく必要があります。

経費申請

社員が経費申請する際は、クレジットカードの明細を確認し、利用日や利用先、金額が正確に記載されているか、不明な取引がないかをチェックします。その上で会社の経費申請ルールに従って、利用日や利用先、金額、利用目的、勘定科目などを記載し、領収書を添付します。

承認

上長や担当者が内容を確認し、承認する段階では、申請内容の妥当性や会社の経費利用規程への適合性をチェックします。承認者は、明細情報と領収書、申請内容が一致しているかを確認し、利用目的が業務上必要なものかを判断します。

支払い

個人カードを使用した場合は、承認完了後に立替金が申請者の口座に振り込まれます。振込時期は会社の支払いサイクルによって異なりますが、通常は月末締めの翌月払いなどの定期的なスケジュールで処理されます。

法人カードの場合は、カード会社から直接会社の口座に請求が行われ、会社が一括で支払いを行います。この場合、個人への立替金の支払いは発生しませんが、カード利用者は適切な申請と承認を受けることが必要です。

支払い完了後は、経理担当者が仕訳処理を行い、各科目に適切に計上します。この際、消費税の処理や源泉徴収税の計算などもあわせて行われます。申請者は、支払い完了の通知を受け取ることで、一連の経費精算プロセスが完了します。

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クレジットカードで経費精算する際の課題とリスク

クレジットカードを活用した経費精算にはいくつかの課題とリスクが存在します。特に担当者は、課題とリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、主要な課題とリスクを詳しく解説します。

私的利用との区分管理

社員が個人カードを利用する場合に、最も大きな課題となるのが私的利用との区分管理です。同じカードで業務利用と私的利用を行うと、後の申請時に混乱が生じやすく、担当者の確認作業も煩雑になります。特に出張先での利用では、業務関連の支払いと個人的な支払いが混在しやすいため、注意が必要です。

私的利用との区分管理を解決するためには、業務専用のクレジットカードを用意することが最も効果的です。ただし、カード年会費の負担や管理コストを考慮すると、すべての社員に専用カードを配布することは現実的ではない場合があります。そのため、利用時点で明確に区分し、申請時に適切に仕分けることが重要になります。

また、私的利用分を誤って経費申請してしまうと、税務上の問題が発生する可能性があります。給与所得として課税される場合や、会社の経費として認められない場合があるため、区分管理は慎重に行う必要があります。定期的な利用明細の確認と、適切な申請ルールの徹底が求められます。

紛失・不正利用

法人カードを導入する際には、紛失や不正利用のリスクを十分に考慮する必要があります。カードが第三者の手に渡った場合、会社の経費として不正な支払いが行われる可能性があります。また、社員による意図的な不正利用も想定しておく必要があります。

そのため、紛失時の対応体制を整備することに加え、不正利用を早期に発見するために、定期的な利用明細の確認と承認プロセスの強化が必要です。

技術的な対策としては、利用限度額の設定や利用可能店舗の制限、リアルタイムでの利用通知機能の活用などが有効です。また、社員に対する適切な教育と、不正利用に対する厳格な対処方針の周知も重要な要素となります。

運用によっては非効率になる場合も

Excelや紙で経費精算を行っている場合は、クレジットカードの明細情報を手動で転記する必要があるため、転記ミスのリスクや作業時間の増加が発生する場合があります。

紙ベースの申請書では、カード明細と領収書を物理的に管理する必要があり、紛失や整理の手間が発生します。また、承認プロセスも書面でのやり取りとなるため、承認に時間がかかる場合があります。特に在宅勤務や出張中の申請では、書類の受け渡しに時間がかかることも問題となります。

さらに、Excelでの管理では、データの集計や分析が困難になる場合があります。経費の傾向分析や予算管理、税務申告用の資料作成なども手作業となるため、担当者の負担が増加する可能性があります。

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経費精算システムを導入してクレジットカード運用を効率化しよう

前述した課題とリスクを効果的に解決し、クレジットカードの活用メリットを最大化するためには、経費精算システムの導入が効果的です。経費精算システムとクレジットカードを連携させることで、手作業による転記ミスを防ぎ、承認プロセスの効率化と適切な内部統制を実現できます。

明細を自動で取り込める

経費精算システムとクレジットカードを連携させることで、カード明細を自動的に取り込むことが可能になります。主要なカード会社の明細データをAPI連携やCSVファイルの取り込みにより、システムに直接反映できるため、手動での転記作業が不要になります。

自動取り込みにより、利用日や利用先、金額などの基本情報の入力ミスを防げます。特に金額の転記ミスは、後の承認や支払い処理で大きな問題となる可能性があるため、自動化による効果は非常に大きいです。また、複数のカードを使用している場合でも、各カードの明細を統合して管理できるため、全体の経費状況を一元的に把握できます。

証憑管理・仕訳を一元化できる

経費精算システムの導入により、カード明細と領収書の管理、さらには仕訳処理まで1つのシステム内で完結できます。スマートフォンのアプリを使用して領収書を撮影し、自動的にカード明細と紐付けることで、証憑管理の効率化が図れます。

OCR(光学文字認識)機能を活用することで、領収書から必要な情報を自動で読み取り、システムに反映できます。店舗名や金額、日付などの基本情報だけでなく、消費税額や軽減税率の適用状況なども自動で判別できるため、税務処理の精度が向上します。

また、システム内で承認が完了した経費は、自動的に会計システムに仕訳データとして連携できます。科目の自動判定や消費税の計算、部門配賦なども自動化できるため、担当者の月次決算作業が大幅に効率化されます。さらに、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムでは、証憑書類の電子保存も適切に行えるため、書類保管コストの削減も実現できます。

不正利用を防止できる

経費精算システムの導入により、利用履歴の管理と承認フローの統制が強化され、不正利用の防止効果が大幅に向上します。システム内でカード利用の上限額や利用可能店舗の制限を設定できるため、不適切な利用を事前に防げます。

また、カード利用と同時に担当者に通知が届くため、迅速な確認と対応が可能になります。利用パターンの分析により、通常とは異なる利用があった場合にアラートを発信する機能もあるため、不正利用や紛失による悪用を早期に発見できます。

承認プロセスにおいても、システムにより一貫した基準での審査が行われるため、承認者による判断のばらつきを防げます。

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まとめ

経費精算では、クレジットカードの明細だけでは税務上の証憑として不十分であり、適切な領収書管理が必要です。また、私的利用との区分管理や不正利用防止など、運用上の課題にも十分な対策が求められます。

運用上の課題を解決し、クレジットカードの活用メリットを最大化するためには、経費精算システムの導入が非常に効果的です。明細の自動取り込みや証憑管理の一元化、不正利用防止機能など、システム連携により包括的な解決策を提供できます。

現在、手作業による経費精算で課題を感じている企業は、経費精算システムの導入を検討することをおすすめします。適切なシステム選定と運用により、経費精算業務の効率化と内部統制の強化を同時に実現できます。

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経費精算システムは、製品によって備わっている機能やサービスの幅が異なります。そのため、自社の導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。

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