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2025.10.20

Excelでプロジェクト管理を行う方法!テンプレートや限界・課題を解説

Excelは誰もが慣れ親しんだツールであり、部門を超えて共有しやすく、シンプルな管理が可能です。一方で、プロジェクトの規模や複雑さが増すにつれて、手作業の負担やファイル管理の煩雑さといった課題も見えてきます。

本記事では、Excelでプロジェクト管理を行う方法を解説します。また、Excel運用の限界や課題、プロジェクト管理ツールとの比較なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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Excelで管理できるプロジェクト項目

Excelでは、プロジェクト管理に必要なさまざまな要素を1つのファイル内で整理できます。表計算機能を活用すれば、タスクの洗い出しから進捗管理、リスク対応まで幅広くカバーできるでしょう。ここでは、実際にExcelで管理可能な代表的な項目を紹介します。

WBS

WBSは、プロジェクト全体を段階的に細かなタスクまで分解し、階層構造で整理する手法です。Excelでは、行と列を使って階層構造を直感的に表現できます。

WBS

【設定項目】

  • タスクID
  • 作業項目
  • 担当者
  • 工数
  • 開始日
  • 終了日

作業項目は、「1. システム開発」という大項目の下に「1.1 要件定義」「1.2 設計」といった中項目を配置し、さらに「1.1.1 業務フロー整理」「1.1.2 機能仕様書作成」のような小項目まで展開していくとわかりやすいでしょう。

ガントチャート

ガントチャートは、プロジェクトのスケジュールを時系列で視覚化し、タスク間の依存関係や全体の進捗状況を把握するのに役立ちます。Excelでは、条件付き書式と関数を組み合わせることで、本格的なガントチャートを作成できます。

ガントチャート

【設定項目】

  • タスク名
  • 開始日
  • 終了日
  • 担当者
  • 進捗率
  • 日付

各タスクの行と日付の列が交差するセルに、IF関数とAND関数を使って「その日付がタスクの期間内であれば色を付ける」という条件を設定します。

例えば、以下の数式を使えば、該当期間のセルを判定できます。

=AND(F$1>=$C2,F$1<=$D2)

タスク管理表

タスク管理表は、個々のタスクの詳細情報を一覧形式で整理し、日常的な進捗確認や状況報告に活用できます。Excelのフィルター機能やソート機能を活用すれば、必要な情報を素早く抽出できます。

タスク管理表

【設定項目】

  • タスクID
  • タスク名
  • 担当者
  • 優先度
  • 開始予定日
  • 終了予定日
  • 実際の開始日
  • 実際の終了日
  • 進捗率
  • ステータス
  • 備考欄

ステータス欄には、「未着手」「進行中」「完了」「保留」といった状態を定義し、プルダウンリストを設定すれば、入力ミスを防げます。優先度は「高」「中」「低」の3段階で設定し、色分け表示すると視認性が向上します。進捗率は0から100の数値で管理し、プログレスバー風の表示にすることも可能です。また、予定日と実績日の差分を自動計算する列を設けることで、スケジュール遅延の傾向を把握できます。

リスク管理シート

プロジェクトを成功に導くためには、潜在的なリスクを事前に洗い出し、適切な対応策を準備しておくことが重要です。Excelを使ったリスク管理シートでは、リスクの特定から評価、対応計画まで体系的に整理できます。

リスク管理シート

【設定項目】

  • リスクID
  • リスク内容
  • 発生確率
  • 影響度
  • リスクレベル
  • 発生時期
  • 対応策
  • 責任者
  • ステータス

発生確率と影響度は、それぞれ1から5の5段階評価とし、両者を掛け合わせてリスクレベルを算出します。例えば、発生確率3×影響度4=リスクレベル12といった具合です。この数値が高いほど優先的に対応すべきリスクとして位置づけられます。

条件付き書式を活用すれば、リスクレベルに応じてセルの色を自動変更でき、危険度の高いリスクを視覚的に把握できます。また、対応策の列には、「回避」「軽減」「転嫁」「受容」といった対応方針を明記し、具体的なアクションプランも記載します。

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Excelでのプロジェクト管理の課題

Excelを使ったプロジェクト管理は手軽で柔軟性が高い一方で、プロジェクトの規模拡大や複雑化に伴い、いくつかの課題が浮上してきます。課題を事前に理解することで、Excel運用の限界を見極め、必要に応じて他の手法への移行を検討する判断材料となるでしょう。

手作業が多くミスや抜け漏れが発生しやすい

Excelでのプロジェクト管理では、データの入力や更新、集計作業の多くが手作業に依存するため、人的ミスが発生しやすいです。特に、複数のシート間でデータを連携させる際や、複雑な関数を使用している場合には、意図しない結果が生じるリスクが高まります。

【よくある問題】

  • 日付の入力ミス
  • 担当者名の表記揺れ
  • 進捗率の更新忘れ
  • 数式の意図しない変更

例えば、ガントチャートで開始日と終了日を手動入力する際、日付の前後関係が逆になってしまったり、土日を考慮せずに期間を設定してしまったりするケースがあります。また、複数人でファイルを共有している場合、誰かが数式を誤って削除したり、セルの書式を変更したりすることで、全体の計算が狂ってしまう事態も発生します。

プロジェクトが増えるとファイル管理が煩雑になる

組織内で複数のプロジェクトが同時進行する状況では、Excelファイルの管理そのものが大きな負担となります。案件ごとにファイルを分割する運用では、ファイル数の増加に伴い、目的のファイルを探し出すのに時間がかかったり、類似した名前のファイルを間違えて開いてしまったりするトラブルが頻発します。

また、ファイルサーバーやクラウドストレージでの保存場所も問題です。プロジェクトごとにフォルダを作成していても、関連資料が散在していると、必要な情報を探すのに多大な時間を要します。

過去のプロジェクトを参考にしたい場合でも、該当ファイルを見つけ出すのが困難で、せっかくのノウハウが活用されないまま終わってしまうケースも珍しくありません。検索機能も、ファイル名やフォルダ名に依存するため、内容での検索が困難という限界があります。

属人化しやすい

Excelでのプロジェクト管理は、作成者の知識やスキルに大きく依存するため、属人化が進みやすい傾向があります。複雑な関数やマクロを駆使して高機能なファイルを作成した場合、その仕組みを理解できるのは作成者のみという状況が生まれがちです。

複雑な関数の組み合わせで条件分岐や計算を行っている場合は、なぜその数式になっているのか、どの部分を変更すれば期待する結果が得られるのかがわからず、他の人が引き継ぐことが困難になります。

また、セルの参照関係も複雑化しやすく、あるセルの値を変更した際に、思わぬ箇所に影響が及ぶことがあります。作成者であれば、どのセルとどのセルが連動しているかを把握していますが、他の人にとっては「ブラックボックス」状態となってしまいます。

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【比較】Excelとプロジェクト管理ツールの違い

プロジェクト管理の手法を選択する際には、Excelと専用のプロジェクト管理ツールの特徴を比較検討することが重要です。それぞれにメリット・デメリットがあり、組織の規模やプロジェクトの性質、予算、チームのスキルレベルなどを総合的に考慮して最適な選択を行う必要があります。

コスト面

Excelは多くの企業ですでに導入されているMicrosoft Officeに含まれているため、追加的なライセンス費用を必要とせず、実質的に無料でプロジェクト管理を開始できます。初期投資が不要で、すぐに運用を始められる点は大きなメリットです。

一方、プロジェクト管理ツールの多くは月額課金制として提供されており、1ユーザーあたり月額500円から3,000円程度の費用がかかることが一般的です。10人のチームであれば月額5,000円から30,000円、年間では60,000円から360,000円の継続的な支出となります。

ただし、プロジェクト管理ツールには高度な機能が含まれており、業務効率化による時間短縮効果を考慮すれば、実質的なコストパフォーマンスは決して悪くないケースも多いです。

また、隠れたコストも考慮する必要があります。Excelの場合、複雑なファイルの作成や保守に要する時間、ミスによる手戻り作業、ファイル管理の負担などが間接的なコストとして発生します。一方、プロジェクト管理ツールでは、導入時の設定作業、ユーザー教育、カスタマイズ作業などに時間と労力が必要です。長期的な視点で総合的なコストを評価することが、適切な判断につながるでしょう。

操作性・効率化機能

Excelでは、関数やマクロを使って一定程度の自動化は可能ですが、基本的には手動での入力・更新作業が中心となります。進捗状況の更新やレポートの作成、データの集計などは、担当者が能動的に行う必要があり、定期的な作業が欠かせません。複雑な関数を組み合わせれば高度な計算も可能ですが、その分、作成や保守の難易度も上がります。

対照的に、プロジェクト管理ツールでは、自動通知機能や進捗の自動更新、リアルタイムダッシュボード、自動レポート生成など、多くの作業が自動化されています。タスクの期限が近づくと自動的に担当者にメール通知が送られたり、ガントチャートが進捗に応じて自動更新されたり、プロジェクト全体の健康状態が瞬時に可視化されたりします。

また、外部システムとの連携機能も充実しており、カレンダーアプリやメールシステム、チャットツール、会計システムなどとのデータ連携が容易に行えます。これにより、重複入力の削減や情報の一元管理が実現できます。

操作性の面でも、ドラッグ&ドロップでタスクの移動ができたり、ワンクリックでステータス変更ができたりと、日常的な操作がスムーズに行えるよう設計されています。

導入・定着のしやすさ

Excelは多くの人が日常的に使用しているソフトウェアであるため、基本的な操作方法を新たに学習する必要がありません。セルへの入力、簡単な数式の使用、表の作成といった基本機能であれば、特別な研修を行わなくてもすぐに運用を開始できます。既存の業務フローとの親和性も高く、現在紙やメールで行っている管理業務をそのままExcelに置き換えることも容易です。

ただし、高度なプロジェクト管理機能を実現しようとすると、複雑な関数やマクロの知識が必要となり、一部のユーザーには習得が困難な場合があります。また、ファイルの共有方法や運用ルールを組織全体で統一する必要があり、調整に時間がかかることもあります。特に、属人化を防ぐためのドキュメント整備や引き継ぎ体制の構築は、継続的な取り組みが求められます。

プロジェクト管理ツールの場合、初期設定やユーザー登録、基本操作の習得などで一定の学習コストが発生します。新しいシステムに慣れるまでに時間がかかったり、従来の業務フローを変更する必要が生じたりすることもあります。

しかし、多くのプロジェクト管理ツールでは充実したサポート体制が用意されており、オンラインヘルプやチュートリアル動画、ユーザーコミュニティなどを活用して効率的に習得できます。また、一度定着すれば、自動化機能により日常的な作業負荷が大幅に軽減されるため、長期的には業務効率の向上が期待できます。

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Excelからプロジェクト管理ツールに切り替える判断ポイント

Excelでプロジェクト管理を始めた多くの組織が、ある段階でより専門的なツールへの移行を検討するようになります。切り替えタイミングを適切に見極めることで、業務効率の向上と管理品質の改善を同時に実現できます。ここでは、移行を検討すべき具体的な状況とその判断基準をご紹介します。

扱うプロジェクトの数が増えてきた

同時並行で管理するプロジェクトの数が5件を超えてくると、Excelでの管理負荷が急激に高まります。それぞれのプロジェクトで個別のファイルを作成している場合、毎日の進捗確認だけでも複数のファイルを開いて確認する必要があり、負担になります。また、プロジェクト間でのリソース調整や優先度の比較検討も、各ファイルの情報を手動で集約して行わなければならず、正確性と効率性の両面で課題が生じます。

また、管理状況の把握が困難になり、重要な更新を見落としたり、古い情報に基づいて判断を下したりするリスクが高まります。さらに、各プロジェクトの担当者や関係者への情報共有も煩雑になり、メール添付でのファイル配布や定期的な状況報告会議の頻度が増加し、コミュニケーションコストが膨らんでいきます。

このような状況では、プロジェクト管理ツールによる一元管理と自動集計機能のメリットが大きく、移行を検討する適切なタイミングといえるでしょう。

複数部門・メンバーとの協業が必要になった

プロジェクトの規模拡大や複雑化により、異なる部門のメンバーが参加したり、外部パートナーとの連携が必要になったりする場合、Excelでの情報共有には大きな制約が生じます。部門ごとに異なるファイルサーバーを使用していたり、セキュリティ制限により特定のファイルにアクセスできなかったりする状況では、情報の分断が発生し、プロジェクト全体の一体感が損なわれます。

加えて、タスクに対する質問や相談、課題に対する議論、意思決定プロセスなどが、メールやチャットツールと分離された状態で行われると、情報が散在し、後から経緯を追跡することが困難になります。チーム内でのナレッジ共有や過去の判断根拠を参照したい場合にも、関連情報を探し出すのに多大な労力を要します。

協業の質と効率を向上させるためには、統合的なコミュニケーション機能を持つプロジェクト管理ツールが有効です。

ミスやトラブルが頻発してきた

手作業による入力ミスや数式の誤編集、ファイルの重複更新、情報の更新漏れなどが週に複数回発生するようになった場合、Excel運用の限界を示すサインといえます。特に、これらのミスが原因でスケジュール遅延や品質問題が発生したり、顧客への報告内容に誤りが含まれたりする状況では、組織の信頼性に関わる重大な問題となります。

このような状況では、データの信頼性確保とミス防止機能を備えたプロジェクト管理ツールの導入が、リスク管理の観点から必要となります。ミスやトラブルの頻発は、より堅牢で自動化された管理システムへ移行する明確な判断材料といえるでしょう。

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まとめ

Excelを使ったプロジェクト管理は、コストを抑えながら手軽に始められる優れた選択肢です。多くの人が慣れ親しみ、自社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。

しかし、プロジェクトの規模拡大、複雑化、複数案件の同時進行といった成長段階に応じて、Excelの限界も明確になってきます。手作業による負荷増大やミスの頻発、属人化リスクなどは、組織の生産性向上と事業継続性を阻害する要因となりえます。

そのため、現状を客観的に評価し、課題が深刻化する前に適切なタイミングで次のステップを検討することが重要です。プロジェクト数の増加、チーム規模の拡大、協業の必要性、ミスの頻発といった兆候が見えてきた時点で、プロジェクト管理ツールへの移行を検討するとよいでしょう。

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プロジェクト管理ツールは、製品によって備わっている機能やサービスの幅が異なります。そのため、自社の導入目的や効果を考慮して選ぶことが大切です。

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